フリーソフトウェアの世界では、内部での議論と一般向けのアナウンスの間に明確な違いはありません。このため、正しい方法で情報の報道価値を示す必要があります。とりわけセキュリティ問題については、開放性と秘密主義の対立に折り合いをつける方針が存在しますので、これらをまとめて紹介します。
フリーソフトウェアの世界では、内部での議論と一般向けのアナウンスの間に明確な違いはありません。その一因としては、想定する読み手がはっきり定義できないことがあります。ほぼすべての投稿が一般向けに公開されているとすれば、プロジェクトの外部の人たちがその投稿をどう受け取るかなどコントロールできません。プロジェクトの外部に公開するつもりなどまったくなかった投稿であっても、例えばslashdot.orgへのタレコミなどの影響で何百万もの人に読まれることになるかもしれません。
オープンソースプロジェクトを運営していくに当たってこれは避けられないことです。ただ、通常そのリスクはあまり大きくありません。一般に、正しい方法で情報の報道価値を示しさえすればプロジェクトの外部に伝えるべき情報はきちんと伝わるようになります。
重要なアナウンスの場合、その公開方法は4通りか5通りくらいになることもあります。そして各方面へのアナウンスはほぼ同時に行わなければなりません。
announceメーリングリストの流量はあまり多くなく、また重要な内容のみに使用するものです。そのプロジェクトの各種メーリングリストの中でも購読者の管理に最も力を入れる必要があります(あまり乱用するのではなく、熟考してから投稿しましょう)。誰もが好き勝手にアナウンスを作成したりスパムだらけになってしまうことを避けるため、announceメーリングリストは必ずモデレートしなければなりません。
これらの各所に出すアナウンスは、できるだけ同時に行いましょう。メーリングリストに流されたアナウンスがプロジェクトのホームページやプレスリリースに反映されていなければ、それを見た人は混乱します。さまざまな変更(メールの送信、Webページの編集など)を事前に準備した上で同時に実行すると、情報の一貫性が失われることが少なくなります。
それほど重要でもない出来事の場合は、上述の手法のうち幾つか(あるいはすべて)を省略してもかまいません。出来事の重要性に応じて、それでもプロジェクトの外部には自然に伝わっていくでしょう。例えば「新しいリリースが公開されました」というのは重要な出来事ですが、ただ単に「次のリリースの公開予定日が決まりました」というのは、実際のリリースに比べてそれほど重要ではありません。リリース予定日が決まったという程度の情報なら(アナウンス専用ではなく)通常のメーリングリストに投稿し、後はWebページ上のタイムラインを更新しておくくらいで十分でしょう。
しかし、あなたのプロジェクトに関心を持っている人たちは、リリース予定日が決まったという話題をインターネット上のほかの場所で持ち出すかもしれません。メーリングリストに参加しているけれどもただ話を聞いているだけで自分は一切発言しないという人たちが、必ずしもほかの場所でも同じように黙っているとは限りません。口コミの影響は侮れません。ちょっとしたアナウンスであっても、それが正しい内容で周りに広まるよう心がける必要があります。具体的に言うと、ほかの人に引用されることを想定した投稿では、どの部分を引用してもらいたいのかを明確にし、その部分は公式のプレスリリースと変わらないレベルで書くようにするということです。
例えば以下のようにします。
開発の最新状況をお知らせします。Scanleyのバージョン2.0を、2005年8月中旬にリリース予定です。詳細な情報は http://www.scanley.org/status.html でもご覧いただけます。このバージョンで追加される主要な機能は、正規表現による検索です。
そのほかの新機能は、... また、次のようなバグの修正も含まれます ...
最初のパラグラフでは、2つの重要な情報(リリース予定日と新機能)を簡潔に説明し、さらに詳細な情報を知るためのURLを示しています。この部分だけしか読まなかったとしても、内容が伝わるようにしておきましょう。メールの残りの部分は、ほかに伝わる際には無視される可能性があります。もちろん、中にはメール全体へリンクする人もいるかもしれません。しかし、ほとんどの人はメールの一部を引用するのみとなります。そうである以上、一部を引用する人が引用しやすいようにすることを心がけましょう。うまく引用してもらえば、情報を広く伝えることができます。
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