人々は、東京の街に突然現れたhotaru-sanのパフォーマーの姿を写真に撮り、ブログやTwitterにアップする。このとき「従来は広告の受け手であり続けた一般消費者が、一転して情報の発信者、つまり広告を打つ企業側と同じ立場に変わる。これを気持ち良いと感じ、hotaru-sanを応援しくれるはず」(西尾氏)という思いで、企画を前に進めた。
「光ファイバーの潜在ユーザーである一般消費者が、自分も当事者として感情移入し、プロジェクトを育てたいと思うような“スキ”を意図的につくった」(同氏)。「バカバカしい」と思われるかもしれないが、芸術性の高い施策よりも、祭り重視の日本人には「未完成に見えるものの方が受け入れられる」(中里氏)という。
さらなる仕掛けも用意している。実は、黒い着ぐるみを着たhotaru-sanのパフォーマーは、テレビで活躍するなどそれぞれが影響力を持つ「美人ブロガー」でもあるという。このブロガーを題材にした口コミ、彼女たち自身による口コミにより、プロジェクトへの認知度が高まると見込む。
既に、このブロガーたちが着ぐるみを脱ぎ、笑顔でリラックスする様子を収めた動画作品「美人の無駄遣い」がアップされており、7000回以上視聴されている。女子によるこうした口コミネットワーク自体が「メディア」になる時代が来ているのかもしれない。
ちなみに、プロジェクトに参加したブロガーたちは、基本的にアルバイト料などを受け取っていないが「青春の1ページにします」などと話している。プロジェクトを運営した彼女たち自身が、hotaru-sanプロジェクトという祭りを楽しんでいたといえそうだ。
一般に、Webを使ったプロモーションを仕掛ける際は「ブログ、Twitter、動画を組み合わせる」というように、技術的条件を満たすことに関心が行ってしまいがちだ。実際には、情報の受け手である消費者の心にリーチしなくては意味がない。その解決策が祭りということになる。
今後企業が仕掛けるWebプロモーションの数はますます増加すると考えられる。仕掛け人は、自らに「祭り力、鍛えていますか」と問うてみてはいかがだろう。
企業向け情報を集約した「ITmedia エンタープライズ」も併せてチェック
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.