情報機器市場の成長性――ポメラなどが新たな需要にアナリストの視点(1/3 ページ)

世界的な景気後退は終わりを迎えつつあり、新興国が世界経済をけん引する図式が見えてきた。これに伴い、情報機器市場はどのような成長曲線を描くのか。電子メモなど新たな需要も生まれつつある同市場をアナリストが分析する。

» 2010年03月18日 08時00分 公開
[甲斐優太(富士キメラ総研),ITmedia]

アナリストの視点では、アナリストの分析を基に、IT市場の動向やトレンドを数字で読み解きます。


 2008年9月に起こったリーマンショックから1年以上が経ち、国内経済は徐々に回復の気配を見せ、一部の企業では2010年の通期決算を上方修正する動きが見られる。しかし、それとは異なる局面も見えている。

 小売業を例にとると、小売店がメーカーに製造を委託し、小売店のブランドを冠して販売する「プライベートブランド」の台頭や、流行のファッションを比較的安価に提供する「ファストファッション」の盛況により、国内市場はデフレ傾向にある。国内市場の消費動向は決して明るいとはいえない状況が続いている。

 一方、世界経済に目を移すと、世界的な景気後退は終わりを迎えつつある。現在は中国をはじめとした新興国市場が世界経済をけん引する中、国内企業は先進国以上に新興国市場への進出に成長の活路を見いだしている。国内企業は世界市場に熱い視線を送っている。

情報機器市場の市場展望

 情報機器の2009年の世界市場規模は102兆559億円となる。経済情勢の悪化を受けたことで、2008年の113兆7603億円と比べるとマイナス成長になる。今後は新興国で経済回復が早急に進み、2010年はプラス成長に転じる。2013年には121兆1702億円になる見込みだ(図1)。

情報機器

コンピュータ、モバイル、ストレージ、ストレージメディア、ネットワーク、システム機器、映像・音響関連、ポインティングデバイス、パーソナル支援、入出力機器、PCパーツの分類で合計82製品を対象とした。


 2009年の国内市場規模は6兆1254億円となり、2008年の6兆8950億円からマイナス成長となる。その後、市場はいったん回復基調になるが、市場の飽和および製品価格の下落に伴い、2012年に再びマイナス成長に転じ、2013年には6兆5571億円になる見通しだ(図2)。

 製品カテゴリー別では、PC、ストレージメディア、システム機器、映像・音響関連、ポインティングデバイス、パーソナル支援の市場は維持、もしくは微増で推移。一方、サーバ、ストレージ、ネットワーク、入出力機器、PCパーツ市場はマイナス成長となり、全体市場の規模縮小に大きく影響を与えると推測される。

 世界と国内の市場構成を分析すると、2008年に6.1%を占めていた国内市場が、2013年には5.4%と減少する。情報機器市場は、世界市場への比重が高まる傾向にある(図3)。

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