製品別に市場を見ると、電子ペーパーを除く情報機器81製品中、50製品における2013年の市場規模の成長率が、2008年に比べて100%以上となる見込みだ。成長率の上位5製品は、電子メモ(パーソナル支援)、業務用FPD(映像・音響関連)、電子黒板(映像・音響関連)、Blu-rayドライブ(ストレージ)、Blu-rayディスク(ストレージメディア)である(表1)。全体を見ると、映像・音響関連、システム機器で高い成長率が見込まれ、PCパーツ、入出力機器は100%成長を下回る傾向が見られる。
ランキング | 製品名 | 2008年(単位:億円) | 2013年(単位:億円) | 成長率 |
---|---|---|---|---|
1 | 電子メモ | 2.9 | 24.5 | 844.8% |
2 | 業務用FPD | 3058 | 8690 | 284.2% |
3 | 電子黒板 | 794 | 2237 | 281.7% |
4 | Blu-rayドライブ | 867 | 2440 | 281.4% |
5 | Blu-rayディスク | 193 | 531 | 275.1% |
電子メモは、国内に市場が限定されているものの、最も成長が著しい分野だ。国内市場に限定した市場において、2008年11月に発売された「ポメラ」が成長をけん引する。テキスト入力機能に特化した端末であり、携帯性や利便性が支持を集め、電子メモというジャンルを新たに作った。今後は、一定の成功を収めたポメラに対抗した製品を、ほかの企業が展開すると予測され、関連市場も拡大していく。
電子黒板は、文学・教育向けの需要を中心に市場が拡大する。英国ではブレア前首相が教育改革を先導し、電子黒板が浸透。北米地域では新政権による教育政策の拡充があり、ともに市場が拡大した。今後は北米や欧州地域において電子黒板の入れ替え需要による市場の推移が推測されるが、ロシアをはじめとした東欧地域では、新規案件の数が増えている。中東地域では石油の枯渇を見据えた国際競争力の維持のために、教育政策に注力する動きが見られ、市場拡大が顕著な地域だ。
表2は電子メモを除いた市場で、成長率の上位4製品を地域別に比べた市場規模である。
黄色は日本市場より成長率が高いエリアを示す。電子メモは日本のみの市場である為、上記エリア別では除外とした。当調査は2009年8月〜11月実施の為、その後の事業仕分け等による影響は加味していない。 |
国内市場では、電子ペーパー、WIMAX端末を除く80製中、34製品が2013年の市場成長率において、2008年比で100%以上となる。情報機器市場の成長率で上位5位を占めるのは、電子メモ(パーソナル支援)、シンクライアント(コンピュータ)、DAC(映像・音響関連)、Netbook/MID(コンピュータ)、スマートフォン(モバイル)の分野だ(表3)。
ランキング | 製品名 | 2008年(単位:億円) | 2013年(単位:億円) | 成長率 |
---|---|---|---|---|
1 | 電子メモ | 2.9 | 24.5 | 844.8% |
2 | シンクライアント | 42.4 | 131.6 | 310.4% |
3 | DAC | 28.8 | 72 | 250.0% |
4 | Netbook/MID | 350 | 850 | 242.9% |
5 | スマートフォン | 670 | 1,500 | 223.9% |
シンクライアントは2008年に金融危機の影響を受け、急成長にブレーキが掛かった。だがインフルエンザの流行や相次ぐ地震が起こった2009年は、事業継続計画(BCP)を目的とした需要が膨らみ、市場が拡大基調に戻っている。今後は、主な導入目的だったセキュリティ対策の需要が回復し、市場が堅調に拡大していくとみられる。
Netbook/モバイルインターネット端末(MID)は台湾ベンダーの低価格製品の投入により、2008年に急成長を遂げた製品だ。ほかのPCよりも価格帯で優位に立っており、今後も数量ベースでの市場拡大が推測される。だが価格の低さが収益悪化をもたらす懸念もあり、各ベンダーは価格以外での差別化戦略を模索している。
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