“標準化”って、ムズかしい。悲しき女子ヘルプデスク物語(2/3 ページ)

» 2010年04月21日 08時00分 公開
[鐙貴絵,ITmedia]

逆「闇夜のカラス」で文字が見えず?

 文字が「飛ぶ」という原因はすぐに分かった。

 叔母のWordファイルには、「あるもの」が表示されていなかったのだ。それは、段落記号を表す「曲がった矢印」のことだ。

 早速、叔母のPC上で、編集文字を表示させる「編集記号の表示/非表示」ボタンを押すわたし。思ったとおり、薄いグレーの「→」が表示された。ここには「Tab」が入力されていたのだ。

 Tab って、使いこなしている人にはとても便利なものだが、Tab を知らない人にとっては、ワケの分からないものだろう。そして問題は、Tab を中途半端に理解している人が作る Word ファイルである。

 ルーラーを操作すれば、Tab でどこまでスペースを入れるかを設定できるけど、使いこなしている人は意外に少ない。Tabを2つ、3つと続けて入力し、目的の場所までスペースを入れている文書を、何度も見ている。叔母がもらったファイルは、まさにそれだった。Tabが2つ入力されていたものだから、ちょっと文字を入れただけで、8文字程度の空白が一気に空いてしまうわけだ(そういえば、企業の新人研修でも、tab絡みの質問が多く出るって聞いたことがある。新入社員の研修を担当している読者の方はぜひ、このことをフォローしておいてくださいね)。

 Tabの意味と使い方を叔母に教えようかとも思ったけれど、説明が面倒だと、考え直したわたし。思い切ってTabを消すことにした。このファイルはおそらく、来年になれば次の担当者に引き継がれるのだろう。その人がTabを理解しているとは限らないし、叔母にtabについての説明ができるとも思えない。


 続いて、文字が消えるという現象を確認してみる。叔母が指定した個所は、表組みのセルである。わたしもそこに文字を入力してみたが、やはり文字は表示されなかった。

 これには少々てこずった。でも、分かってしまえば何てことはない。フォントの色が白に設定されていたのだ。さんざん悩んで簡単な原因だった時ほど、脱力感は大きい。

わたし ああ……。文字の色が白になっているよ? 文字が表示されないんじゃなくて、文字が見えなかったのね。闇夜のカラスの反対だね。

叔母 なんで、そんなことになっているの?

 それは、わたしが聞きたい。

わたし 間違えて、白い文字の色を設定しちゃったのかもしれないね。

叔母 だれが?

 それも、わたしが聞きたい。

わたし だれがしたのかまでは分からないけれど、ほら、文字色を黒にしたら、文字が出てきたでしょ?

 画面を指差しつつ、叔母に説明するわたし。それでも彼女は納得できないのか「なんで文字を白にするんだろう?」と不思議がっていた。そんな叔母を横目に見つつ、ファイル上に表示されている文章を、上から下までチェックするわたし。ほかに問題になりそうなところは特にない。空白文字で無理やり位置合わせをしている場所があったが、PC音痴の叔母にはこのほうが扱いやすいだろうと、わたしはあえて、そのままにした――。

 間もなく叔母は、書類を仕上げ、わたしはめでたくお払い箱に。今回は大きな問題にならなくて、よかった、よかった。

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