クラウド時代に向けたEMCの野望Weekly Memo(1/2 ページ)

EMCがデータセンター間の分散ストレージ連携を実現する新製品を発表した。先進のストレージ仮想化技術でクラウド市場をリードしようという同社の意気込みが感じられる。

» 2010年05月24日 08時05分 公開
[松岡功,ITmedia]

仮想ストレージの実現に向けて

 「技術的には競合他社より2、3年先を行っていると自負している」

 EMCジャパンの諸星俊男社長は5月19日、同社が開いた新製品発表会で開口一番、こう語った。新製品は、異機種混在ストレージ環境のデータセンター間で距離の壁を越えて連携できるようにした「EMC VPLEX」と呼ぶ機器で、米EMCでも5月10日(現地時間)に発表されたばかりのものだ。

 同社が業界初の新技術と強調するのは、「フェデレーション」と呼ぶ分散ストレージ連携技術だ。これによって、物理ストレージの境界を越えて遠距離間での情報リソースを透過的に共通プール化し、ITインフラの場所に依存してきた従来のデータセンターの戦略を大きく変革することができるとしている。

 この新技術を採用したVPLEXを使うと、異機種混在ストレージ環境のデータセンター内およびデータセンター間で情報への同時アクセス、共有、負荷分散、冗長化を実現できるとともに、必要なときに、迅速かつ最適な場所に無停止でアプリケーションと情報を再配置することができるという。

 さらに、EMCが持つ「FAST」(ストレージ自動階層化機能)とVPLEXによるデータセンター間の連携機能を組み合わせることで、ストレージ内および遠距離のストレージ間にわたる保存の最適化を実現する新しいコンピューティングモデル「仮想ストレージ」が可能になるという。この仮想ストレージの実現が、クラウド時代に向けたEMCの最大の眼目である。

 新製品の詳細な内容については、すでに報道されているので関連記事等を参照いただくとして、ここでは諸星社長が会見で語ったEMCにおける仮想ストレージの戦略について紹介しておこう。

 まず、仮想ストレージの進化については、「ストレージの進化には、スタンドアロンから統合化、そして異機種間の連携といった段階があるが、現在ユーザーが使用しているストレージの大半はスタンドアロンの状態。統合化に向けては、EMCでもFAST技術を基に導入促進を図っている。さらに今回のVPLEXでは、統合化とともに、どこにストレージがあろうとも仮想化された1つのストレージのように扱うことができる環境を目指している」と語った。

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