「いいね!」ボタンのクリックなどユーザーの行動を広告として利用するFacebookの「Sponsored Stories」はオプトアウトの手段がなく、プライバシー問題を引き起こしそうだ。
米Facebookが開始した新サービス「Sponsored Stories」は、ユーザーの許可も得ずに企業が「いいね!」ボタンの人気を利用できるようにするための新しい広告ユニットだ。
AdAgeの記事によれば、この新広告は「いいね!」ボタンやFacebook Placesの「チェックイン」機能を用いたもの。どちらも、Facebookの6億人以上のユーザーの間で非常に人気の高い機能だ。
FacebookはSponsored Stories広告の一例として、Starbucksが購入したものを紹介している。ユーザーの友人のうちの誰かがStarbucksの店舗でチェックインしたり、Starbucksについて「いいね!」ボタンをクリックしたりすると、そのステータスがユーザーのニュースフィードのほか、Starbucksの広告としても表示されるというものだ。
Sponsored Storiesについて説明しているFacebookの動画によると、チェックインの投稿はユーザーが書き込んだとおりの内容がそのまま広告画面に表示されるもよう。
またSponsored Stories広告には、「誰のフィードを表示するのか」や「自分のフィードを誰に見せてもいいか」をコントロールするためにユーザーが既に設定してある既存のプライバシー設定が適用される。
落とし穴と言うべきは、ユーザーには今のところ、自分のチェックインや「いいね!」ボタンのアクションをSponsored Stories広告に活用されないようオプトアウトする方法が提供されていないという点だ。Facebookの考えでは、「いいね!」ボタンやチェックインは何かしらの製品やブランドに対する明白な興味を示すものであり、広告主はそうしたアクションから利益を上げることができるべきであるということなのだろう。
この新サービスがプライバシー擁護派を怒らせるのは確実だ。自分のプロフィールやコンテンツが自分の明白な承諾なしに使われることを喜ばしく思わない、見識のあるユーザーにとっても同じだろう。
一方、Facebookは広告主の評判を保護するためにさらにもう1つ手を打っている。Facebookのマーケティングマネジャー、ジム・スクワイア氏がAdAgeに語ったところによると、自社に関するネガティブなコメントがポップアップ表示されることを望まない広告主は「いいね!」ボタンの購入を制限することもできるという。
AllThingsDigitalはこのSponsored Stories広告について、「Facebookがかつて失敗したBeacon広告のアプローチに似ている」と指摘している。Beacon広告では、ユーザーの許可なくユーザーのアクションが表示されていた。Facebookは昨年、Beacon広告をめぐる集団訴訟を和解で決着させたところだ。
一方、Facebookのコアな広告主はこのチャンスに乗っているようだ。Starbucksのほか、Levi's、Anheuser-Busch、Amnesty International、Unicefなどが既にこのサービスを利用している。ただし、Sponsored Stories広告はいずれセルフサービスのオプションとして皆に提供される見通しだ。
FacebookがSponsored Storiesを発表する前日には、調査会社eMarketerが、Facebookの昨年のオンライン広告収入は推定18億6000万ドルで、2011年には40億ドルにまで増加する見込みだと発表している。
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