思い出の品もクラウドへ――災害に備えてバックアップオルタナブログ通信(2/3 ページ)

» 2011年04月15日 16時15分 公開
[森川拓男,ITmedia]

失われた10日間に何があったか

 今日はエイプリルフール。時事的なネタを、と思って振り返ってみるのですが、地震を抜くと「何も思い出せない」ということに気付きました。

 失われた10日間。3月1日から3月10日に何があったか。:一般システムエンジニアの刻苦勉励


 震災から1カ月、あっという間に過ぎ去ってしまった感がある。そんな中で目に留まったのは、山口陽平氏「一般システムエンジニアの刻苦勉励」の失われた10日間。3月1日から3月10日に何があったか。というエントリー。確かに、あの震災が発生するまでは変わらない日常を送っていたはずなのに、何があったかと問われても、震災以降ばかりが頭をよぎってしまう。山口氏は「そこで3月1日から3月10日の失われた10日間についてニュースを検索し、振り返ってみたい」として、主な出来事を箇条書きで記した。外務大臣辞任は、地震のわずか5日前だったことなど、すっかり忘れていた自分に驚く。この1カ月がいかに普通でなかったのかをあらためて思い知らされた。

クラウド上にバックアップすることで災害対策を

 突然「基礎年金番号は分かりますか?」と聞かれても、年金手帳に書いてあるだろうくらいのことである。突然、多数の方とともに自分の年金手帳など、社会保険関連の書類がなくなってしまうことは想像もしていない。

 大事な物は雲の上 〜不測の事態に備える情報の退避〜:Godspeedな生活


 今回の震災では、これまで想定していなかったことが次々に発生した。津波による被害、地震による液状化、そして原発事故などだ。家屋を津波で流出してしまった被災者の場合、何も持ち運べなかったという人も少なくない。稲川卓治氏「Godspeedな生活」の大事な物は雲の上 〜不測の事態に備える情報の退避〜でも書かれているように「突然、多数の方とともに自分の年金手帳など、社会保険関連の書類がなくなってしまうことは想像もしていない」のだ。お金を下ろそうとしても、キャッシュカードや通帳などもなく、口座番号も覚えていないという人も多いだろう。もちろん、大切な情報はさまざまだ。

 稲川氏は、「社会保険関連の番号のみならず、私自身も大切な情報はいくつかある。毎年更新している大切な諸先輩・友人への年始のごあいさつ用の住所を書き留めたエクセルのシートは、もう10年以上続けているファイルでもある」と言い、今回の震災を受けて、「毎年メンテナンスしている自分だけのマル秘ファイルを、自分のGoogleドキュメントにアップロードしておいた」という。「Googleドキュメントが、個人情報の管理にどの程度有効かよく分からないが、自分なりのクラウドの使い方に、遅ればせながら少し気がついたような気がした。大事な物ほど、雲の上に置いておいた方が安心な時代かもしれない」――確かに、クラウド上にバックアップすれば、仮に自宅や会社が震災の被害にあってデータを消失してしまったとしても、バックアップが残る可能性が高い。

 同じことは薬師寺聖氏「イメージ AndAlso ロジック」の非常時に備えての、情報の保管および持ち出し方法。でも指摘されている。「すべての情報をデータ化するのではなく、印刷、刻印など、用途に応じて保存し分けることが望ましいと思います。写真などはロッカーや貸し金庫に保管しておく方法もありますが、道路が寸断されると、取りに戻ることが難しくなります」とし、「写真や手描きの作品は、スキャンしてデータ化し、動画も含めて、クラウドで保管」するとしている。そして「業務用データ(とくに在宅勤務で仕掛かり品のある場合)は、耐衝撃防水ポータブルHDDに保管しておき、非常持ち出し袋に入れておく」とともに、「クラウドに置いて差し支えないものは、クラウドにも置き、二重バックアップ」すること。「メールなどの各種設定ファイル、連絡先情報、年金番号や被保険者番号、通帳番号などは、小さな文字で紙に印刷し、折りたたんでカードケースに入れて携行」し、セキュリティに留意しつつ「クラウドやポータブルHDDにも保存」しておく。ただし、「パスワードは、できるだけ印刷したりデータとして保存するのではなく、指に記憶させた方がよい」と注意している。

 薬師寺氏は、クラウドを活用するとともに、すぐに持ち運べる形で携行することも重要という。今回の震災でも分かるように、被災地ではすぐにPCなどが使えないことが多い。すると、クラウドだけのバックアップではすぐには活用不可能なのだ。これは、小沢仁氏「夜な夜な海外ネット」のクラウド、大丈夫か?!でも懸念されている通りだ。「クラウドに依存し過ぎるのも問題がある」という指摘も分からなくはない。現在は、「光ケーブルで大量にデータが扱えるようになった」ことでクラウドを活用しているが、震災などで「もしそのケーブルが切断された場合は、そのほかのケーブルで問題なく通信はできるのか」も考慮しておく必要はあるだろう。

ソーシャルメディアを本当に必要としている人とは?

 本当にソーシャルメディアの恩恵が、本質的に届くとよいと思うのは(中略)ソーシャルメディアに一番関心を示していない層だったりします。

 ソーシャルメディアを本当に必要としている人はソーシャルメディアの外にいる:「和」のソーシャルメディアを創りましょ! with UZIT :)


 今回の震災では、ソーシャルメディアが役に立った。人々が思ったほどパニックにならなかったのは、Twitterなどで情報を得ることができたからだという指摘もある。

 その一方で、加藤征男氏「「和」のソーシャルメディアを創りましょ! with UZIT :)」のソーシャルメディアを本当に必要としている人はソーシャルメディアの外にいるは、冒頭の指摘をした。「ソーシャルメディアの土壌は、絆社会です。ソーシャルメディアはその道具」と指摘する加藤氏は、この機会に、「信頼できる人々と絆でつながっていこう」と呼び掛けている。「もっと“和”と“輪”を大切にしようよ!」――ソーシャルメディアはあくまでも道具、人と人とのつながり、絆こそが大切だ。

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