各レベルをより具体的にとらえるため、この成熟度モデルでは、メディア環境を構成する要素から定義を加えている。メディア環境を構成する要素とは、以下の5つである。(図3参照)
自社そのものやその組織体制である。ソーシャルメディアの活用にあたっては、企業としてそれに取り組む形が整っているかどうかが重要となる。
メディアを通じて関係を持つ対象となる消費者や企業を取り巻く関係者である。消費者や関係者がソーシャルメディアを利用する/できる状況かどうかは大きな要素である。
メディア上に、何をどういう形で載せるかというコンテンツである。ソーシャルメディアの発展と成熟にともない、コンテンツもより高度化していく。
企業から消費者/関係者に対して、どのようにコンテンツを提供していくかという意味でのツール/手段である。成熟したソーシャルメディアにおいて、ツール/手段の充実も必須となる。
全体を管理するプロセスである。管理プロセスは、企業の一機能として備えられるものであるが、全体を最適に運営していくための重要要素であるため、切り出して考える。
われわれのBtoCビジネスにおける成熟度モデルでは、前述したレベル定義と、メディアを構成する5つの要素をマトリクス化して定めている。(図4参照)
ここで、BtoCビジネスにおける成熟度モデルに沿って、今後のソーシャルメディアやソーシャルマーケティングについて、改めて考察したい。
多くの日本企業は、Level 0(Default)からLevel 1(Initial)へ歩を進めている状態にあるだろう。すなわち、ソーシャルメディアの利用を開始し、消費者への情報提供を行っている状態である。そして、Level 2(Managed)に進みかけている企業もあるだろう。これは、ソーシャルメディア単独アプローチであり、発想として、マスメディア補完型から抜け出してはいない。Level 2(Managed)は、通常、ソーシャルメディアを取り組む際に、当然に視野に入っているものであり、どの企業も達成しているかのように見えがちだが、実際のところは、管理・監視する業務機能とその組織体制が整えられている企業はまれである。したがって、ソーシャルメディアの利用を開始した企業の多くは、まずLevel 2(Managed)の諸条件が満たされているかどうかが最初の確認ポイントとなる。
Level 3(Integrating)は、現在の多くの企業が当面目指すべき姿となるだろう。これはソーシャルメディアのほか、テレビ、ラジオ、雑誌、新聞、看板広告、ホームページ、コールセンターなどを含むあらゆるメディアやチャネルを連携させ、マーケティング機能として統合化し、消費者自体がマーケティング活動に参画するよう戦略的に誘導していくレベルであり、既に取り組んでいる企業もある。前回記事において取り上げた「マスとソーシャルの融合化・一体化」はまさにこのレベルであり、実験的な取り組みも含め、このLevel 3(Integrating)を実践していくことが、今後の効果的なマーケティング活動やプロモーション活動において重要である。特にアジア新興国においては、先進国市場で将来実践される統合的な戦略や活動を先取りして進めていく形で、マスメディアとソーシャルメディアの融合化・一体化した活動を実施することが有効であることは、前回記事で申し述べた通りである。
では、その後、ソーシャルメディアやソーシャルマーケティングはどのように発展・成熟していくのだろうか。それがLevel 4(Optimizing)、Level 5(Pioneering)である。
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