現場で効くデータ活用と業務カイゼン

iPadで内科問診票システムは作れるか?医師たちのワークショップに参加してみた(2/2 ページ)

» 2011年11月11日 11時45分 公開
[岡田靖,ITmedia]
前のページへ 1|2       

画面の回転や拡大縮小などにも配慮した設計を

 持った向きに応じて自動的に画面の縦横を切り替える画面回転機能や、指先の操作で倍率を変える拡大縮小機能などは、普段使いには便利な機能だが、iOSの操作に馴染んでいないユーザーにとってみれば逆に混乱の元だ。「元に戻せない」「もしかして壊してしまった?」という不安の種にもなってしまう。

 勉強会に参加した医師の一人は、画面回転をロックするなどして混乱を招くような動作を規制する方法を説明している。

 「いわゆるキオスク端末としては、操作をできるだけ限定しておく必要がある。スクリプトで倍率を100%に固定しておき、かつウインドウサイズを画面より少し小さくしておくと、拡大縮小だけでなく画面がスクロールしそうな動きをするのを抑えることができる。また、iOS5から登場したマルチタスクジェスチャもOFFにしておく。あとはハードウェア的にホームボタンを隠しておけば、ほぼ完全に操作を規制できる。一方、管理者が設定を変更する際には、画面隅に用意した隠しボタンを特定のパターンで押してコマンドを入力するようにすればいい」

 凝った方法だが、画面回転を規制せず、むしろ縦横に対応できる画面構成を作る方法もある。例えばFileMakerのスクリプトで画面の縦横を判断し、ボタンの大きさや形状、配置を変えて対応させることも可能だ。画面回転の状態は、オンタイマーイベントでスクリプトを走らせて識別できるという。

 高岡氏は、レイアウトオブジェクトの自動サイズ調整機能を使用した、FileMakerの応用テクニックとして、画面内をメイン部分とインデックスなど補助的な情報を示す部分に区切り、そのインデックスを縦画面では画面下に、横画面では右側に配置する方法を紹介した。

 「このアプローチなら、オブジェクトを画面サイズに応じて移動させられる。どのようになっているかは、インスペクタの自動サイズ調整で見ると分かりやすい。中央のメインコンテンツは左と上が固定され、右と下がフリーなので、画面を拡大すれば左上にくっついていく。横用インデックスは右上に寄るよう、右と上を固定して下と左をフリーにしてある。縦用インデックスの部分は上がフリーで、必ず画面の下に寄った配置だ」(高岡氏)

 ここで注意しなければならないのは、オブジェクトの表示順序。インデックスはメインのオブジェクトの裏側に隠れるようにしておくのがポイントとなる。そうすると、縦表示のときに右側インデックスが隠れ、横表示になると下側インデックスが隠れて、一方だけが見えるようになるというわけだ。それぞれのインデックスは、それぞれの画面スタイルに適した配置で作っておけば、縦でも横でも見やすいレイアウトができる。

参加者たちも独自の観点でiPad+FileMaker Goの活用を検討

 ワークショップの最後は、各テーブルで数人ずつのチームに分かれて実践研究となった。

 最後にチームごとの簡単な発表があり、「目の不自由な人向けに音声ガイダンスなどを考え、読み上げさせる方法を検討してみた」「テンキーをスクリプトで自作し、そこから数字を入力させることもできる」など、ユニークな方法が提案された。

 問診票として本格的に使うためには、何台ものiPadの管理や誤操作対策。故障対策などといった課題をクリアしていく必要があると思われるが、患者がiPadで問診票を入力する姿が、遠からず多くの病院で見られるようになるのではないか。

スクリプトでボタンを作り込み、テンキー入力を可能にした画面例
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ