日本の復興、難局の打開にITの力を――主要各社の新年への想い2012 年頭所感(2/4 ページ)

» 2012年01月05日 08時10分 公開
[國谷武史,ITmedia]

日本IBM 橋本孝之代表取締役社長

 2011年は日本経済の歴史的な転換点となった。東日本大震災は未曾有の被害をもたらし、一方で、グローバル経済をみれば、日本やタイの被災による世界的なサプライチェーンの混乱、欧州危機に伴う金融不安や新興国の台頭など、さまざまな要素の連動が加速し、複雑性が増してきている。

 日本企業にはいま、震災復興への尽力はもとより、グローバル市場に参画し勝ち抜くために、市場拡大によるトップライン(売上)の成長、事業の選択と集中による高付加価値事業への注力、そしてバックオフィス改革を中心としたホワイトカラーの生産性向上によるコスト削減が同時に求められている。日本IBMは自身の変革経験と製品・サービスをはじめとする総力を結集して顧客起点の価値を創造し、顧客や社会の大胆かつ抜本的な変革の提案とその実現への支援にまい進していく。

日本オラクル 遠藤隆雄代表執行役社長 CEO

 2011年は、国内での災害などのみならず、欧州地域の経済危機、さらにタイの洪水など、困難な事態が世界各地で発生した1年だった。これらの災害や経済危機は、発生した地域だけでなくその国や地域、そして世界に大きなインパクトを与えた。企業の多くがグローバルで事業展開している今、世界各地で起こるさまざまな事象が企業のビジネスに影響を与えている。企業は、さまざまな事態に迅速に意思決定して対処する変化対応力がますます求められだろう。

 このような中、日本オラクルは、安全かつ堅牢で、変化に速やかに対応可能な信頼性の高いシステムの提案を強化していく。提案に当たっては、グローバル企業としてのメリットを最大限に活用し、社会基盤へのニーズなど、直面している数多のITの課題にも取り組んでいく。

日本マイクロソフト 樋口泰行代表執行役社長

 新たな年を迎え、早期の復興が望まれる中、日本企業の経営には、従来通りの発想を超えて、世界に目を向けて勝負する熱意と戦略が求められている。海外企業に伍して勝負していくために、経営とオペレーションの近代化および事業継続性へのニーズが急速に高まっている。当社は、こうしたニーズにITが大きな役割を果たすものと考えている。業務変革とITの両面で変革を行い、強靭で効率的なオペレーションを実現することが、今後の経営にとって重要性を帯びてくる。

 本年はコンシューマーと企業の境界が融合する「Consumerization of IT」(ITのコンシューマー化)がさらに進行するだろう。デバイスからクラウドまで、コンシューマーから企業向けビジネスまで手がけ、次世代Windowsを軸に、総合的なエンド-エンドのソリューションを提供できる存在として、パートナーと連携しながら、コンシューマーのライフスタイルの進化を加速させ、生産性の高いワークスタイルに応用し、企業力の強化を支援したい。

日本HP 小出伸一代表取締役社長執行役員

 2012年は日本にとって、まさに震災復興への元年であり、経済回復へのターニングポイントの年である。日本企業のグローバル展開やTPPなどにみられる新自由貿易圏の議論が進む中で、日本が真にグローバルリーダーシップを取れるかが問われる年になるだろう。

 IT利用では、クラウドへの期待と需要は、企業のグローバル化や災害対策の優先度と相まって一層高まる。また、産官学連携によるスマートシティなどの取り組みも一層の加速をするだろう。それに併せて、ビッグデータやセキュリティといったビジネス領域も実装に向けて急速に拡大していく。柔軟で堅牢なITインフラストラクチャが真に社会に貢献していく時代となるだろう。

 日本HPは、顧客の経営課題は何か、それを解決するためにITが支援できることは何かを、顧客の視点に立ってともに考え、最善のソリューションを提案していく。

SAPジャパン 安斎富太郎代表取締役社長

 2012年は、SAPにとって創業40周年という大きな節目の年であり、また日本法人設立から20周年という重要な年でもある。勢いを加速させるには、多様化する顧客のニーズをより的確に理解することが重要だ。顧客が何を考え、何を悩み、何を求めているのかをよく理解し、そのニーズに対して迅速かつ柔軟に対応することが必要である。そして、顧客から求められている情報の鮮度と精度に磨きをかけ、グローバルレベルで情報のオープン化、標準化、統一化の徹底を図っていきたい。

 どの分野の顧客でも、求めているのは「スピード」と「フレキシビリティ」。そうした顧客を支援するためには、我々がさらにスピードとフレキシビリティを持った集団にならなければならない。的確かつ深く顧客のニーズに応えられるよう社員のスキル向上に取り組み、日本の顧客の多様なニーズをグローバルで共有し、それらを迅速に取り入れ、提供、展開できる体制づくりを強化して顧客の経営を支援していきたい。

EMCジャパン 山野修代表取締役社長

 今後、社会を支える多くのビジネスがITを活用してサービス化され、「XaaS(eXecution as a Service)」として提供される時代に入っていくだろう。2012年はそれが急激に加速されていく年であると考えている。ITのサービス化を支えるITインフラの最適な構築と運用のため、「ITトランスフォーメーション」「ビッグデータ」「トラスト」の3つの分野に注目し、顧客を支援していく。

 2012年もこれまで以上に、ITインフラ構築の支援を通じて社会に夢と希望をもたらすことができるよう、微力ながらまい進していきたい。

デル 郡信一郎代表取締役社長

 2012年、世界経済はユーロ圏の経済混乱とドルの信頼失墜というリスクを抱えたままの厳しい情勢で、各国政府も企業も一層の経済効率化を迫られている。日本でも、震災からの復興、円高への対応など深刻な課題を抱える中、デルは、企業および公共機関向けビジネスにおいて、顧客視点に立ち、顧客の課題解決に真に役に立ち得る最適なITソリューションを提供していく。

 今後もソリューション事業を核とした戦略を軸に、顧客に信頼されるパートナーであることを旨とし、ソリューション部門をより一層強化するための人材戦略の充実など、さまざまな施策を強力に進めていく所存だ。

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