情報過多時代に求められるものオルタナブログ通信(2/3 ページ)

» 2012年01月21日 12時00分 公開
[森川拓男,ITmedia]

やらせ口コミ問題

 そもそもそこにあるのは一定の目安であって信憑性を判断するのは受け取り側の姿勢の問題じゃないのかなぁとあらためて思うところであります。

 口コミはそもそも口コミであってそれ以上でもそれ以下でも無いという理解をしようよ:THE SHOW MUST GO ON


 TwitterやFacebookなどのソーシャルネットワークサービスが幅を利かせている一方、「集合知」としての役割を担う口コミサービスも、多くのユーザーに利用されている。そして、問題が発生した。

 岩永慎一氏「THE SHOW MUST GO ON」の口コミはそもそも口コミであってそれ以上でもそれ以下でも無いという理解をしようよで取り上げられた、「グルメサイトのコメントの内容の話から再び火がついた格好の『信憑性』の問題」である。ユーザーの評価を書くべきところに、店舗と契約した業者を介したヤラセ口コミが書かれていたという事例だ。マスコミで取り上げられて大きな話題となったが、「信憑性を判断するのは受け取り側の姿勢の問題じゃないのか」という岩永氏の意見に思わず頷いてしまった。

 いわゆる新聞やテレビといったメディアであっても、「情報を流す人には必ず流す意図がある」のだ。口コミサイトの場合、期待されるのは実際に利用したユーザーの率直な感想や意見などが書かれることで客観的な評価がなされることなので、その中にヤラセがあってはその信頼性が揺らぐという話だ。その後、Q&Aサービスにも同様のケースがあったことが報じられている。「盲目的に何かを信じるのも1つ。すべてを疑うのも1つ。そしてその間のグラデーションのどこに自分の立ち位置を置くか。そういう風に考えると見える風景も違ってくるんじゃないかと思う」――実にその通りだ。

 グルメサイトの件は、1つの事例にすぎない。現在は一言でいって「情報過多の時代」である。中山陽平氏「海外情報から見える『企業の最新WEB活用法』」は「インフォメーションダイエット」って? 情報過多の時代の最新情報整理術+他3記事で、「これからは『効率よく』『必要な情報を』拾っていかなければ」いけないと指摘。「昔のように『ある程度すべての情報を拾って、それから考える』という姿勢はもう通用しない」とまでいう。

 確かに、Twitterなどソーシャルメディアサービスが続々登場し、情報の流通スピードが格段に速くなった。中山氏がまとめた「そんな時代に役立ちそうな海外の最新ノウハウ記事」を、ぜひ読んでおきたいものだ。

 また森戸裕一氏「【考察】企業の組織改善」のキュレーター的人材が求められる超情報化社会では、情報が氾濫して混乱する現状で、「キュレーターの存在がクローズアップされている」と指摘。「そのキュレーターとの関係性の構築をソーシャルメディアで行うということになる」という。「自分に最適なキュレーターを探す必要がありますし、私自身がある層に対してはキュレーター」になるということだ。

 さらに森戸氏は、将来を悲観するのではなく現状を悲観して改善していこうの中で「テレビをつけて録画していた経済番組を見て、ながらでパソコンでブログを書き、右手のスマートフォンでツイートして、パソコンのとなりにあるiPadでFacebookを見ている。そんなかっこうな姿で夜を徹して頭の整理をして」いたという。同じような人も多いのではないだろうか。そして「ライフスタイルは確実に変化しているのですが、従来型の商品やサービスは確実に衰退してきている」のである。

電子書籍のメリット

 IT系で製品解説の書籍を出すときに、例えばβ版の段階でいったん公開し、その後製品が出たら改訂版を出すということができそうです。

 更新性と迅速な反映は電子書籍のメリット:step by step


 書籍の電書化が進んでいる。もちろん、筆者のように紙の書籍を愛する人が絶滅でもしない限りは電子書籍オンリーになることはないだろうが、電子化の流れは止められないだろう。

 今回興味深かったのが、今関茂樹氏「step by step」の更新性と迅速な反映は電子書籍のメリットで書かれた話だ。「Macの開発環境のXcodeの場合、バージョンが変わるとインタフェースが変わることが多く、以前のバージョンに対応したXcodeの解説書だと実際の画面と異なってしまうため、進めなくなること」があるという。これはMacintoshに限らず、PC・ネット系の書籍につきものの問題だ。そこで今関氏はとある電子書籍を紹介した。

 その書籍は「出版後もXcodeのバージョンアップに合わせて改版を続けている」という。それも「すでに購入した人も無償で再ダウンロードできる」というから素晴らしい。今関氏は1歩進めて、「IT系で製品解説の書籍を出すときに、例えばβ版の段階でいったん公開し、その後製品が出たら改訂版を出すということができそう」だと考えた。出版社によっては難しいケースもあるかもしれないが、バージョンアップできることこそ電子書籍ならではの利便性ではないだろうか。

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