LulzSecの逮捕はハクティビズムに終止符を打つか?

FBIによる「LulzSec」メンバーの訴追はサイバー脅威に変化をもたらすだろうか――。

» 2012年03月26日 18時32分 公開
[McAfee Blog]

(このコンテンツはマカフィー「McAfee Blog」からの転載です。一部を変更しています。)

 最近、ラルズセック(LulzSec)のメンバーが何人も逮捕されたというニュースが広く報道されています。

 FOXニュースのサイトによると、ラルズセックのあるリーダーが、数カ月前から密かに政府へ協力し、政府は彼から集めた情報に基づいて3人を逮捕、2人を共同謀議の容疑で起訴したということです。

 これはきわめて興味深い展開です。情報が明らかになればなるほど、多くの疑問が湧いてくるのではないでしょうか。今回の当局の対応は、ハンドル名を「サブゥ(Sabu)」とするラルズセックのリーダーから取得した情報を主な根拠としているようです。また、サブゥは何カ月も前から密かに政府に協力して活動していたといいます。

 Hacker Newsにも、この件に関する詳しい記事が出ており、そこにはサブゥの個人情報も掲載されています。では、この一連の逮捕劇は何を意味するのでしょうか。ラルズセックの解散、もしくはアノニマス(Anonymous)の活動自体が終了し、ハクティビズムはなくなるのでしょうか。

 記事に引用されている、捜査にかかわったFBI捜査官の発言を読むと、そのように思われます。「われわれはラルズセックのトップを確保した。これは組織に決定的なダメージを与えるものです」

 犯罪者や犯罪者集団を壊滅させるのは、もちろん良いことですが、ハクティビズムは、それほど単純には済まされない問題です。

 ハクティビズムとは、政治的な目的達成のために、コンピューターやコンピューターネットワークを抗議手段として使用するものです。個人情報の拡散やサービス拒否(DoS)攻撃、データの盗難が、政治を良い方向に変える可能性は低いでしょう。

 ラルズセックやアノニマスをはじめにハクティビズム全体にとって、この一連の逮捕がどう影響するでしょうか。こういった組織の本質を理解していれば、今回の件が恐らく好ましい結果を生まないことは明らかだと思います。アノニマスやラルズセックにリーダーはいません。真の意味での指揮命令系統は存在しないのです。そこでは誰もがアノニマス(身元を伏せた状態)になれるのです。今回の件はおそらく、ボットネットやサイバー犯罪を解決して喜んでいるようなもので、あとには別の集団が出てくるものです。ハクティビズムの場合、おそらくさらに活発な動きを見せ、報復的な攻撃が増加するのではないかと思われます。

 ラルズセック逮捕の数時間後、アノニマスは複数のWebサイトに次のような声明を出しました。「アノニマスはラルズセック以前から存在し、そして今後も存在し続ける」

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