品川本社内は、フリーアドレスでデスク周りの保存スペースが減少したりなくなったことによって、ペーパーレス化が自然と進みつつあります。しかしフリーアドレスが多くなると、最寄りのプリンターのネットワーク名が分からず、間違ったプリンターに出力したり、出力したまま忘れたりしがちです。この問題をわれわれはIDカード認証を行うことで解決し、ペーパーレスにもつなげています。
ドキュメント印刷時にわれわれは、プリンターの前で直接IDカード認証を行わないと、プリントキューを印刷できません。キューはサーバーに蓄積されますので、プリンター名を指定する必要はなく、どのプリンターからでも出力できます。この仕組みによって紙の無駄を約30%削減し、情報漏えいリスクも大幅に低減できました。
開発に関する情報や顧客情報など、高度に秘匿性の高い情報を扱うときは、「情報管理責任者」の登録が必要です。これらの情報は本当に必要とする従業員のみがアクセスできるよう、情報管理責任が適切にアクセス権制御を行います。また情報管理責任者は、定期的にその資格更新が行われます。
継続不要になった情報はルールに従って適切に破棄されます。併せて、文書はMicrosoft Officeファイルを暗号化し、印刷やコピーの禁止、一定期日を過ぎた場合のアクセス拒否といった「情報ライフサイクル管理」を実現するInformation Rights Management(IRM)を行い、情報管理責任者の手を離れたあとのセキュリティも確保しています。
テクノロジーによるセキュリティ保護に加え、頻繁なオンライントレーニングを行うことが、モバイルワークの適切な運用を支えています。情報の取り扱いに関する技術的な教育だけでなく、マイクロソフト社員としての行動指針、顧客やパートナー企業との接し方など、さまざまなオンライントレーニングとテストの受講が義務付けられ、従業員の意識づけを強化しています。セキュリティ保護テクノロジーと教育を、情報の入り口や出口においてリーズナブルに適用することで、全体としての安全性と生産性が高度に保たれているのです。
「情報共有」と一口に言っても、単に共有可能な場所に情報を置いておくだけでは、効果的な利用はできません。おまけに、モバイル環境では貧弱なネットワーク帯域で業務を遂行しなければならない可能性もあります。誰が情報を作成し、どのように伝達され、どう再利用されていくのかを想定したうえで、情報ストリームが滞らないような道具立てが必要です。
日本マイクロソフトは、従来型のファイルサーバーを順次廃止し、SharePointへの移行を進めてきました。SharePointは、ポータルや文書管理、検索、BI機能などを搭載した情報管理サーバーで、文書ファイルにとどまらず、業務データや、ソーシャルネットワークを通じた人の知識など、さまざまな情報を安全に格納、効率的に共有できます。
検索機能を使えば情報の格納場所を知らなくても、全世界に散在する情報を串刺し検索し、必要な情報にすぐにたどり着けます。SharePoint Workspaceと呼ばれるオフラインクライアントを使えば、ネットワーク接続時に必要な情報をローカルディスクと自動同期してくれますので、十分なネットワーク帯域が確保できない環境でも、生産性を落とさず情報活用や加工ができます。
SharePointを通じて伝達、入手した情報は、全従業員のPCにインストールされているMicrosoft Officeで利用、加工されます。社内の業務アプリケーションの多くはOfficeをインタフェースとして利用しているため、脆弱なネットワーク下でもスムーズに入力できます。これらのテクノロジーによって、いつでもどこでも、情報の種類によらず、必要な情報をすばやく入手し、伝達できるのです。
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