顧客に心を尽くす隠れたヒーローを探せG-Force Sydney 2012 Report

コンタクトセンターなどで献身的なカスタマーサービスを行った人物を称賛する授賞式が今年のG-Forceからスタートした。日本からも1社ファイナリストに残った。

» 2012年08月23日 13時05分 公開
[伏見学,ITmedia]

 8月22日(現地時間)からオーストラリア・シドニーでは米Genesysが主催するAPACでの年次カンファレンス「G-Force Sydney 2012」が開催している

 今回からの新たな取り組みとして、企業やコンタクトセンターで献身的、情熱的なカスタマーサービスを提供するスタッフを称賛する「カスタマーサービス・ヒーロー・アワード(Customer Service Heroes Awards)」が行われた。事前にAPAC地区の8カ国、約40社からの応募があり、選考の結果、あいおいニッセイ同和損害保険(日本)、Bangkok Insurance(タイ)、110 Government Call Center of Korea(韓国)の3社がファイナリストとしてステージに登壇、各社の“感動ストーリー”が映像とともに紹介された。

日本からファイナリストに選ばれたあいおいニッセイ同和損害保険の藤城誠人氏(中央)と近藤徹氏(左)。右はGenesysのニコラス・カチャフスキーCMO 日本からファイナリストに選ばれたあいおいニッセイ同和損害保険の藤城誠人氏(中央)と近藤徹氏(左)。右はGenesysのニコラス・カチャフスキーCMO

 あいおいニッセイ同和損害保険は、昨年発生した東日本大震災の際に結成された特別対応チームに関するエピソードを紹介した。同チームは、2011年4月6日から2カ月間、震災や津波によって被害を受けた契約者からの保険内容についての問い合わせなどを受け付けるために活動。地震によって車が壊れたり、津波によって車が流されたりという、通常の相談以上に時間がかかる、難しい問い合わせに対応した。また、震災によって家族や親族を亡くした契約者からの相談も多く、精神的に負担のかかる業務だったという。

 同社でコンタクトセンター事業部 自動車カスタマーセンター センター長を務める藤城誠人氏は、「通常の対応とは異なるため、契約者からの1回の入電を大切にし、相談内容を聞きもらさぬよう、手続きなどで不具合がないよう慎重に対応した」と振り返る。必要以上の気遣いや配慮が必要だったため、相当なストレスを感じるなどして、涙を流すコミュニケーターもいたという。一方で、契約者から元気付けられることもあったそうだ。

 特別対応チームの尽力の結果、自動車任意保険の問い合わせに関して93.2%の応答率を維持し、品質の高いサービスを提供できたという。「この特別業務を通じて保険会社としての存在意義を強く感じた」と藤城氏は力を込めた。

 110 Government Call Center of Koreaは、ソーシャルメディアで呼び掛けて高齢者の女性に電動モーター付き車いすを提供したストーリー、Bangkok Insuranceは、バンコクの連続強盗事件に巻き込まれて銃弾を受けた運転手が、あるオペレーターの顧客だったことが判明し、搬送された病院まで駆けつけたというストーリーを紹介した。各社のプレゼンテーション終了後には会場投票が行われ、最優秀賞は110 Government Call Center of Koreaが受賞した。

 このアワードのプレゼンテーターである、Genesysの最高マーケティング責任者(CMO)を務めるニコラス・カチャフスキー氏は「イベント会場に来てない人も投票できるよう、今後はビデオ映像をソーシャルメディアに展開するなどグローバル規模で発信していきたい」と抱負を語った。

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