「ネチケット」を賢く学べ! デジタル時代のエチケット「デチケット」の提言“迷探偵”ハギーのテクノロジー裏話(1/2 ページ)

PCやスマートフォンの初心者に学んでほしい「ネチケット」を解説してきたが、ミニ連載の最終回は、ネットワークだけでなく「デジタル情報」全般におけるエチケットについて述べてみたい。

» 2012年10月26日 08時00分 公開
[萩原栄幸,ITmedia]

 1カ月にわたって、PCやスマートフォンの初心者に学んでほしい「ネチケット」をミニ連載として解説してきた。最終回の本稿ではメールやインターネットからさらに視点を広げて、デジタル情報という観点でのエチケット、「デチケット」を提案したい。

視点が古いままの「ネチケット」

 先週までの3回の記事を読み返していただくと感じられるかもしれないが、筆者が取り上げた「ネチケット」の内容は、世間でよく紹介されている「ネチケット」とはかなり違う。その多くはインターネットが本格的に普及し始めた10年くらい前のものであり、現在の状況に照らしてみると相当に違和感を覚えるものばかりだからだ。何十年、何百年経っても変化しない事もたくさんあるが、ITの世界はドラスティックに変化している。たった1年でもこの世界から目をそらしたならば追い付くのは至難の技である。

 その昔、筆者は「ネチケット」について調べ、気が付いた点が幾つかあった。例えば、企業の研修などで提供されている「ネチケット集」は型通りの内容ばかりであり、今もほとんど当時のままの内容で提供され続けている。現実社会でのエチケットと違い、インターネットは基盤も含めて常に変化するものなので毎年見直しをするべきだろう。

 将来の事を鑑みると、そもそも「ネチケット」という言葉、すなわち「ネットワーク・エチケット」のままではいけないと思う。ネットワーク上だけのエチケットとして考えてしまうと、作成意図と異なってしまう可能性がある、特に個人のユーザーを中心にして考えると、ネットワークの世界を取り上げるだけでは不十分だからだ。

 そこで筆者は「デジタル・エチケット」、つまり「デチケット」を提唱したい。そこでは、「個人(本人)と相手」という視点で「不快感を生まない(生ませない)」という最低限の基準を伴う。そして、「個人が不快にならない」「個人が被害にあわない」「個人が自分の身を守れる」ためのマナーであり、「エチケット」である。「自分に課す規則・ルール」とも言えよう。そしてそれは、「自分のプライバシー・生命・財産を守る術(すべ)」だ。「守らないと加害者になる可能性がある」ということを強く意識しなければならないものである。

 一般的な「ネチケット」というイメージからは、相当に外れたものかもしれない。だが昔のネチケットは、そのほとんどが、「メールの作成などにおいて表題は必ずつける」とか、「改行時にはリターンキーを入れる」「半角カナは使わない」とかいうものであり、初心者に興味を持ってもらえそうな内容とは言いがたい(当時では大事な点で、今も軽視すべきものではない)。時代の流れで、今では注意する必要が無くなったり、アプリケーション側で自動的に修正したりといったことで形骸化しているものが多い。手紙の感覚でメールを使うという若者も皆無になってしまった。当時は素晴らしいものだったが、残念ながら「時代遅れ」になってしまった。

 また、デジタル社会において一番の問題は人間が二足歩行を選択して以来、その五感で危険や脅威を感じ取ってきたが、それでは役に立たない時代の到来における「身を守る術」と理解してもいいかもしれない。

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