サーバを論理分割する仮想化機構「Virtage」上にHyper-Vで仮想サーバを構築する二重仮想化の仕組みを日立がサポートする。柔軟なクラウド運用に寄与するという。
日立製作所(日立)は1月24日、日本マイクロソフトとの間でサーバ仮想化分野における連携を強化すると発表した。具体的には、日立独自のサーバ仮想化機構「Virtage(バタージュ)」とWindows Serverが搭載するハイパーバイザー型の仮想化技術「Hyper-V」を組み合わせたソリューションを公式にサポートするという。
Virtageは、サーバのハードウェアを論理的にパーティショニング(LPAR)してOSに割り当てる仮想化方式。ハイパーバイサー型の仮想化技術と異なり、直接I/Oをコントロール(パススルー方式)するため、オーバーヘッドが少ないのが特徴だ。またハードウェアそのものを論理分割するため、仮想サーバの独立性が高く、物理障害が発生しても影響範囲を局所化できる。今回のソリューションは「Virtageで定義した仮想サーバをさらにHyper-Vで仮想化する」という二層仮想化方式であり、クラウド環境の柔軟化に寄与するものだ。
なお日立は同日付で、品川にある同社の施設「ハーモニアス・コンピテンス・センター」内に「Virtage for Hyper-V ソリューションセンター」を日本マイクロソフトと共同で開設する。両社では今回の発表に先立ち検証を進めており、「高信頼サーバ仮想化ソリューション for Hyper-V」として2013年度上半期中のソリューション提供を目指すという。日本マイクロソフト エンタープライズアライアンス統括本部の辻子征臣氏は「日立によって“日本品質のサポート”が提供されることは、日本マイクロソフトにとってもユーザーにとっても大きな意義がある」と話す。なお2013年度中には、日立のクラウドソリューション「Harmonious Cloud」にも同ソリューションを適用する計画だ。
近年のサーバの運用においては、仮想化することが前提といっても過言ではない。日立も「マルチテナントのクラウドシステムにおいては、サーバを効率的に利用するため、1台の物理サーバ上に複数のテナントの仮想サーバを集約するケースが増加している」とみる。こういった環境では、各テナントの負荷管理やセキュリティの確保、障害発生時の独立性維持などが課題となる。
今回、ハードウェアを論理分割するVirtageが信頼性を担保し、Hyper-Vで仮想環境の柔軟性を増すというソリューションを日立がサポートすることは、ユーザーにとって仮想環境を構築する際の選択肢が増したと捉えてよいだろう。
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