ファイア・アイ、標的型サイバー攻撃の検出と情報共有基盤を刷新

未知のマルウェアや複数の経路を使った攻撃の発見と、その情報をユーザーやセキュリティベンダー間で共有する仕組みを強化した。

» 2013年03月05日 18時31分 公開
[ITmedia]

 標的型サイバー攻撃対策ベンダーのファイア・アイは3月5日、未知のマルウェアや複数の経路を使うサイバー攻撃の検出と、その情報をユーザーやセキュリティベンダー間で共有する仕組みを強化したと発表した。標的型サイバー攻撃の発見やその対応を迅速化できるとしている。

 この仕組みは、脅威を検出する「Multi-Vector Virtual Execution(MVX) エンジン」を搭載したアプライアンスと、検出した脅威情報を共有するクラウド基盤「Dynamic Threat Intelligence クラウド」、Dynamic Threat Intelligence クラウドの情報をユーザーやセキュリティベンダーが利用するためのAPIなどから構成される。

新たな標的型サイバー攻撃対策基盤のイメージ

 MVXエンジンを搭載したアプライアンスは、Windowsデスクトップなどの環境を仮想マシンとして実行し、企業ネットワークに侵入したファイルやプログラム、メールやWebからの通信による挙動を解析して、マルウェアなどの不審な兆候がみられる場合に、その詳細な結果をユーザーに通知する。また、Androidなどのモバイルアプリの解析サービスも新たに提供して、企業のIT部門が社員に利用させるアプリの安全性を事前に確認できるようにした。

 解析結果の情報は、匿名化してDynamic Threat Intelligence クラウドに蓄積される。ユーザーやセキュリティベンダーは、クラウドに蓄積された情報を得て、自社の対策やセキュリティ製品・サービスに活用できるようにする。同社はMcAfeeやSophos、Dell(SecureWorks)、HP、EMC(RSA)、Bluecoat、Impervaなど25社以上のベンダーと協業しており、各社のエンドポイントセキュリティ製品やネットワークセキュリティ製品、セキュリティ監視サービスなどに利用されるという。

 2004年創業の同社は、当初から未知のマルウェアの検出に特化したセキュリティ技術を提供。近年は企業や官公庁などの機密情報を搾取する標的型サイバー攻撃が増加しており、ウイルス対策ソフトなどより早くマルウェアを発見するソリューションとして、同社製品を導入する企業や組織が増えている。

アッシャー・アジズ氏

 創業者で最高技術責任者などを務めるアッシャー・アジズ氏は、「標的型サイバー攻撃ではなりすましメールやWebサイト、未知のマルウェアなど複数の経路や手段を組み合わせて段階的に行われる。ベンダーが定義ファイルを作成してアンチウイルスやIPS(不正侵入防御)などで防御を講じる従来の対策だけでは通用しなくなりつつある」と話す。

 同社によれば、製品を新規導入した企業の95%では未知のマルウェアが侵入した痕跡が見つかり、1週間あたり650件もの未知のマルウェアの侵入が検知されているという。

 アジズ氏は、「ユーザー企業などのローカル環境で脅威をいち早く発見することで、セキュリティ対策全体とより機能させていけるようになるだろう」と述べた。

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