昨日、情報漏えいが発覚しました 今すぐにどうすればいいですか?萩原栄幸の情報セキュリティ相談室(2/3 ページ)

» 2013年04月26日 08時00分 公開
[萩原栄幸,ITmedia]

 ポイントは次の通りである。

  1. この条件で企業は、今なにを行動すべきなのか
  2. 読者が「この企業の経営者だったら」という視点で考えてほしい

回答

 筆者は、実際の現場を嫌というほど多数見てきたが、読者の務める企業が万一にもこういう事態に陥った場合に動揺せず、冷静に行動できるヒントとしてお伝えしたい。まず、この点はどの企業にも共通する行動パターンである。

1.顧問弁護士を呼ぶ。顧問がいなければ、知り合いや公認会計士、税理士、司法書士などの知り合いを通じてもOK

 ただし、この手の案件に強い弁護士でない場合は、例えお金を掛けたとしても、顧問弁護士ではあまり活用を期待できない場合が少なくない。弁護士は専門分野が細分化され、実際にどの分野に強い弁護士なのかを普段から見極めておくことが望ましい。テレビの弁護士番組でもある程度お分かりの通り、弁護士の見解は、しょせんその「弁護士先生」の見解に過ぎず、それ以上でも以下でもない。例えば、刑事専門の弁護士に民事を任せるのは、ある意味素人より怖い結果を生むこともあり得る。現場で作業して、筆者はそういうことを痛感している。

2.必要な関係者以外は、例え身内でも情報を知らせない

 本来、可視化はやるべきことではあるが、こういう事案については慎重になり過ぎるくらいでちょうどいい。この手の話題は、面白可笑しく伝達されていく。だから、ほぼ間違いなくほとんどの社員、関係者、取引先まで「誤った情報」が伝達され、これらを否定するには相当の体力と時間がかかるものである。

3.事案の最高責任者は社長とする

 この事を“当たり前”と思ってはいけない。この説得に、馬鹿みたいに時間と労力を費やしている企業もある。トカゲのしっぽ切りというわけでもないが、「自分はそういうことに関わり合いたくない」とか、「俺は社長だが、こんなことで責任を取るつもりはない」という子どもじみてしまう社長が一部いる。

 一番重要なことは、常に「その後」を考えるということだ。本件でいえば、いかにして「会社」が被害を最小限にしつつ、短期に終息することができるのかを冷静に判断すべきである。つまらないプライドや意地によって「会社を衰退させたり、倒産させたいのか?」ということに尽きる。そんな姿勢で社会やマスコミを納得させられるだろうか。こう考えると、結論としては最高責任者がいつも前面に立って「いつでも切腹する準備はある」と思わせることだ。それが経営者としての責務であり、専務や部長に矢面に立つように指示して、自分は自宅で記者会見のニュースを見て済まそうという心根は許されない。

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