世界中から“ヒト”や“カネ”を集めるためのイノベーションをIBM リーダーズ・フォーラム 2013 Spring 関西 レポート(1/2 ページ)

日本IBMは先週末に大阪市内で経営者向けセミナーイベントを開催。企業が勝ち続けるための条件について有識者たちが議論した。

» 2013年05月13日 08時30分 公開
[伏見学,ITmedia]

 日本IBMは5月10日、企業の経営者やエグゼクティブに向けたカンファレンス「IBM リーダーズ・フォーラム 2013 Spring 関西」を大阪市内のホテルで開催した。

 昨年秋に続き2度目となる同イベントは、地域経済の活性化とリーダーシップという前回のテーマに対し、テクノロジーを活用していかに競争優位を獲得するかという、より具体的なビジネス施策に主眼を置いた内容となった。なお、このリーダーズ・フォーラムは、関西のほか、東北(仙台)、中部(名古屋)、西日本(福岡)という、日本IBMが支社を構える4拠点で実施している。

勝ち組になるための3つのポイント

日本IBMのマーティン・イェッター社長 日本IBMのマーティン・イェッター社長

 オープニングの基調講演では、日本IBMのマーティン・イェッター社長が登壇。IBMが全世界の経営者を対象に実施した調査「IBM Global CEO Study 2012」の中で、今後3年〜5年の間に自社に影響を与える外部要因として「テクノロジー」がトップに挙がったことを紹介し、企業におけるITの重要性を改めて強調した。

「かつてITは生産性向上やコスト削減などバックオフィスにおけるツールだった。現在では、新たな顧客を獲得したり、売り上げを伸ばしたりするための手段であり、フロントオフィスで活躍するものとなった」(イェッター氏)

 こうした中で、特に「ビッグデータ」「ソーシャル」「クラウド」「モバイル」といった新しいテクノロジーを活用することが他社との差別化要因になるのだという。これからの時代の勝ち組企業と負け組企業の違いについて、イェッター氏は具体的な3つの例を引き合いに説明した。

 1つ目は、「意思決定は予測型の分析によって行われる」ということである。従来は、過去の履歴情報や直感を基に多くの企業が将来を予測していた。しかしながら、ビジネス環境が目まぐるしく変化する中、そうしたデータは有効とは言えず、誤った判断をしかねない。アナリティクスを用いればデータから洞察や知識を得て、より良い意思決定が可能になるという。

 2つ目は、「ソーシャルネットワークは新しい生産ラインになっていく」ということだ。モバイルデバイスが発達する日本では、ソーシャルネットワークを利用していつでもどこでも情報を収集したり、共有したりできる。また、社内だけにとどまらず、企業や国境を越えても可能である。今後ソーシャルネットワークは仕事をする上での新しいプラットフォームであり、生産ラインのような役割を果たすのだという。

 3つ目は、「今後生み出される価値というものは、個人向けに生成される」ということである。企業は以前、人口動態データを使ってマーケティングキャンペーンの判断を行っていた。しかし、これからは単に大多数の消費者に向けたキャンペーンでは不十分であるため、ビジネスアナリティクスによって一人一人の好みを研究し、より個別化したマーケティングを展開することが不可欠だとしている。

「日本は天然資源に恵まれていないため、国内外のビジネス競争においてイノベーションが重要となる。そうしたイノベーションを推進するのがテクノロジーであり、すべてのビジネスにおいてITの活用が必須といえるだろう」(イェッター氏)

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