GuardianとWashington PostにNSAの極秘文書をリークした本人が名乗り出た。元CIA職員で、防衛関連企業からNSAに出向していたエドワード・スノーデン氏(29)は、「権力の実態を一時的にでも暴露できれば満足だ」とGuardianに語った。
英Guardian紙と米Washington Post紙が先週立て続けに報じた米連邦政府による極秘情報収集に関する情報提供者が名乗り出た。Guardianが6月9日(現地時間)、本人への香港でのインタビュー動画付き記事を公開した。
告発者であると名乗り出たのは、米Booz Allen Hamiltonの社員で米国家安全保障局(NSA)に出向していた元米中央情報局(CIA)職員のエドワード・スノーデン氏(29)。Guardianは同氏が提供した裁判所命令の写しを元にNSAによる米Verizonの顧客データ収集について、Washington Postはスライドを元に極秘プログラム「PRISM」について、それぞれ報じた。
スノーデン氏はこれらの機密資料を、勤務先のハワイにあるNSAのオフィスから持ちだしたという。同氏はインタビューで、「私は自分が正しいことをしたと確信しており、逃げ隠れするつもりはない」と語った。
同氏がGuardianに提供した文書には、「こうすることによって罰せられることは理解している」が、「私の愛する世界を支配する権力の実態を一時的にでも暴露できれば満足だ」というメモが添えられていたという。
バラク・オバマ米大統領は7日、一連の報道について、プログラムの存在は認めたものの正確ではないと主張し、これらのプログラムが極秘扱いなのはテロリストなど米国を攻撃しようとする相手に情報を与えないためだと説明。リークは国家の安全を脅かすものだと語った。
スノーデン氏は、暴露すべき文書を慎重に選び、リークする相手として、何を公開し、何を開示しないかを正しく判断できるジャーナリストを選んだとしている。
同氏はリークしたことを公にすることによって、当局が「汚いことをしにくく」なり、自分にとってある程度の保護になることを期待し、アイスランドへの亡命を望んでいるという。
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