500億台のデバイスがつながる時代のセキュリティ戦略、McAfee幹部に聞くMcAfee FOCUS 2013 Report(1/2 ページ)

米McAfeeの年次カンファレンスでは次世代のITセキュリティの方向性が示されたが、特に親会社であるIntelとは「Internet of Things」時代を見据えた取り組みに関心が集まった。同社幹部に今後のセキュリティ戦略について聞く。

» 2013年10月08日 11時35分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 米McAfeeは米国ネバダ州ラスベガスで10月2〜3日の2日間に渡り、年次カンファレンス「McAfee FOCUS 2013」を開催した。今年のカンファレンスでは企業や組織をターゲットにするサイバー攻撃における新たな対策手法の提供、そして、「Internet of Things(モノのインターネット)」時代を見据えたビジョンが紹介された。後者における取り組みについて同社幹部に話を聞いた。

Internet of Thingsの震源の1つは日本

 Internet of Thingsとは、社会にあるさまざまなモノがインターネットを介して情報をやり取りし、新しい価値を創造していくことを指す。その実現には情報の安全を確保することが不可欠であり、同社では親会社であるIntelと共同で新たなセキュリティの実現に取り組んでいるという。

 ワールドワイドOEMセールス担当バイスプレジデントのトム・ムーア氏は、「この分野において多数の組み込み機器メーカーが活躍する日本は非常に有望な市場だ」と話す。同氏によれば、制御システムやFA(ファクトリーオートメーション)、小売業界のPOSや金融でのATM、さらには娯楽機器、デジタルサイネージといった領域で、オープンアーキテクチャや標準技術、IPネットワークの採用が拡大し、それに応じてセキュリティ需要が高まっている。

 「新たな仕組みは劇的なコスト削減効果を生む一方で、セキュリティリスクを高めることになる。これに対してわれわれは包括的なソリューションを提供し、『Malware Free Rich Way』を実現したい」(ムーア氏)

ワールドワイドOEMセールス担当バイスプレジデントのトム・ムーア氏(左)とクラウド&データセンタソリューション最高技術責任者 バイスプレジデントのグレッグ・ブラウン氏

 クラウド&データセンタソリューション最高技術責任者 バイスプレジデントのグレッグ・ブラウン氏は、ハードウェアやOSにセキュリティ技術を実装することで、Internet of Thingsに求められる安全性を確保すると説明する。この取り組みは、同社の親会社であるIntelやグループ企業とのWind Riverと共同で進められており、Intelが9月のIDF(Developer Forum)で発表した「Quark」ファミリーが代表的であるという。

 「Quarkでは高度なセキュリティシステムがSoC(System on Chip)に組み込まれ、デバイスからデータセンターまでの一貫したアクセスコントロールを提供する」(ブラウン氏)

 こうしたハードウェアレベルからセキュリティ機能を実装していくことを同社では「Secure by Design」と呼んでいる。ムーア氏によれば、これは先にセキュリティ機能を提供することで、開発者がセキュリティの実装に時間や手間をかけることなく、アプリケーション開発に専念できるようにすることを狙ったものだ。

 「簡単に言えば、今まではシステムやアプリが作られるとコンピュータウイルスが出現する。セキュリティ対策が必要になり、追加しなければならなかった。だが開発者にとっての目標はセキュリティではなく、Internet of Thingsの新しい価値創造だ。セキュリティをシステムに実装するSecure by Designを開発者が活用すれば、簡単にセキュリティレイヤを追加できるようになるだろう」(ムーア氏)。

 Internet of Thingsではムーア氏が挙げたようなシステムに加え、センサーネットワークを中心としたM2M(machine to machine)など、さまざまな仕組みが創造されると期待されている。

 「既に一部はスマートフォンやタブレット端末によって形作られているが、近い将来に500億台のデバイスが普及し、もっとさまざまなモノが生まれてくる。それは夢溢れる世界だが、そこには『信頼』が不可欠であり、そのためのセキュリティシステムをわれわれが担うことで、Internet of Thingsの実現を支えていく」とブラウン氏は話す。

カンファレンス2日目の基調講演ではIntelのレネイ・ジェームズ社長が、McAfeeとの協業でセキュリティに取り組む意義を強調した
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