データセンターの日本開設で顧客開拓に自信 マイクロソフト・樋口社長2014年 新春インタビュー特集(1/2 ページ)

「デバイス&サービスカンパニー」への転身を図る日本マイクロソフト。2014年はその真価が問われる重要な時期だ。戦略の方向性などを同社の樋口泰行社長に聞いた。

» 2014年01月22日 08時00分 公開
[聞き手:伏見学,ITmedia]

親会社だけでなくグループ会社との接点も

――2013年を振り返り、日本マイクロソフトにとってどのような1年でしたか。

 昨年は、1年を通して日経平均株価が上がり、有効求人倍率も数年ぶりに1倍台に回復するなど、日本全体が元気を取り戻しました。また、2020年の東京オリンピック開催が決まるといった明るいニュースもあり、まさに日本が活性化するための転換点となる1年だったといえるでしょう。

日本マイクロソフトの樋口泰行社長 日本マイクロソフトの樋口泰行社長

 日本マイクロソフトのビジネスにとっても追い風になっています。企業におけるシステム構築の需要が高まり、従来のレガシーなプラットフォームからオープンなプラットフォームに、さらにはクラウドへの基盤の移行を見据える動きも活発です。さらには、Windows XPのサポート終了が近づいていることもあり、新しい世代のより堅ろうなクライアントOSに多くの企業が移行しています。法人向けのPC出荷台数(電子情報技術産業協会 2013年10月のPC国内出荷実績)は前年比で2倍になるなど活況を呈しています。このようにB2Bビジネスは好調でした。

 特に成果があったのは、情報系システムです。マイクロソフトは、メールからメッセージング&コラボレーション、WordやExcelなどのオフィス製品に至るまで、トータルでソリューションを用意しています。昨今、社内外の風通しを良くして情報共有を大切にしようと戦略転換を求められている企業や、BCP、ワークライフバランス、ダイバーシティ(多様性)などを実現するために新しい働き方を模索する企業が増えています。実際、我々の品川本社には累計で39万人が新しいワークスタイルの見学に来ました。

 一方、コンシューマービジネスについては追いかける立場でありますが、これまで新OSやタブレット端末の高い価値を顧客になかなか伝えきれなかったことは素直に認めないといけません。しかし、年の後半にリリースした最新OS「Windows 8.1」を皮切りに、さまざまなデバイスや自社のタブレット端末「Surface 2」を出すことで、コンシューマービジネスもプラスに転じています。それ以前と比べると、昨年は法人向けビジネスもコンシューマー向けビジネスも、転換期の入り口に当たる良い1年でした。2014年はこれらの動きを本格化するような、飛躍の年にしたいと考えています。

――昨年は中堅・中小企業に対する売り上げが伸びました。「Office 365」といったクラウドサービスの大規模な拡販もきっかけの1つであると思いますが、そのほか今までの戦略との違いはあったのでしょうか。

 マイクロソフトは基本的にパートナー経由による販売となりますが、新しい製品やクラウドサービスなどはまず我々で顧客にタッチしにいきます。そこで昨年はテレセールスのエンジンを充実させてカバレッジを上げました。

 具体的には、顧客のグループ会社に対する接点の強化を目的としました。親会社からグループ会社に対するガバナンスが必ずしも強くないため、IT投資の意思決定がバラバラである企業は少なくありません。そうした背景から今までは我々も親会社との接点を密にしていましたが、ガバナンスの強弱を企業ごとにきちんと仕分けして、グループ会社に対しても積極的にセールス活動していこうという体制にしました。

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