Officeについて、日本国内では新しいPCを購入する時にプリインストールされているか、別にパッケージで購入するというイメージが強い。しかし、米国ではクラウドサービス「Office 365」の個人向けエディションや学生向けエディションが存在している。このため、Officeは徐々にサブスクリプションモデルで毎年の使用料を支払う製品というイメージに変わり始めている。
こういった背景から、米国ではいち早くiPad向けのOffice「Microsoft Office for iPad」がリリースされた。iPad向けのOfficeは文書の編集機能を持つが、Office 365のサブスクリプションユーザーしか編集機能が利用できないようになっている(インストールのみで利用できるのは閲覧機能)。日本でも今年秋には、Office365の個人ユーザー向けのサブスクリプションが開始されるようだ。
MicrosoftにとってOfficeは稼ぎ頭でもあり、“お荷物”にもなっている。新しいOfficeのライバルは旧バージョンのOfficeといわれ、基本機能はOffice 2003で十分というユーザーは多い。それ以降のOfficeでは様々な部分で機能を追加したり、UIを変更したりしているが、多くのユーザーは古いOfficeで十分だと感じている。
このことは、新しいOfficeへアップグレードをしてもらえないというMicrosoftのビジネス上の問題点という面もあるが、それよりも、古いOfficeをいつまでも使い続けられることが注目される。ある意味、Windows XPの移行問題はOffice 2003で満足しているユーザーが引き起こしたともいえるだろう。
同社がビジネスモデルをOffice365のサブスクリプションモデルに移行すれば、Officeユーザーにとってはいつでも最新バージョンのOfficeがインストールされることになり、古いバージョンが残ることはほとんど無い。企業などで必要性に迫られ、古いOfficeをインストールすることもあるが、例外的だろう。
Officeがサブスクリプションモデルに移行するなら、将来的にクライアントOSもサブスクリプションモデルになる可能性がある。ただし、OSはハードウェアの進化が支えているため、Windows Phoneのように2011年モデルのWindows Phoneのアップデートが2世代までといったような、ハードウェアによる制限などが条件になるかもしれない。
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