オリックス・バファローズが運営する公式ファンクラブ「BsCLUB」は、この1年間で1万人以上も会員数を伸ばしている。そのわけとは――。
前回の記事で紹介したように、オリックス・バファローズのファンクラブ会員の多くは、試合観戦に訪れるたびにグッズを購入していることが、会員の行動データを分析することで明らかになった。球団にとってグッズ収益はチケット収益に次ぐB2C事業の大きな柱であるため、この販売をさらに伸ばす戦略が求められていた。
それに向けた施策の1つが、グッズの種類を増やすことである。2013年シーズンに約1600種類だったのに対し、2014年には約2100種類にした。加えて、単に販売種類を増やすだけでなく、過去の販売データを分析することで“確実に売れる”グッズを開発した。例えば、グッズの中で高い収益性を誇るのがユニフォームジャージである。「ほとんどのファンは2着以上買っている」(オリックス野球クラブ 企画事業部 企画グループ長 兼 ファンクラブグループ長 兼 宣伝グループ 兼 企画広報グループ 兼 イベント・運営グループ 課長代理の緒方貴弘氏)ほどだ。
今シーズンはファンクラブ入会時にユニフォームをプレゼント特典にしたのにもかかわらず、ユニフォームジャージ(ファンジャージ、ナンバージャージ、ハイクラスナンバージャージ、カラージャージなど)の売り上げを前年比で約50%伸ばした。そのほか、タオルグッズも約50%増加、風船グッズは80〜90%も売り上げを伸ばした。これは勝利した試合の終了時に、ゴールドのジェット風船を飛ばすという応援スタイルを新たに確立したことが大きく寄与している。
「グッズ購入額の10%がファンクラブ会員ポイント(Bsポイント)として加算される。このポイントプログラムとの組み合わせやファンの購買意欲を高めるグッズを次々に企画することで、さらなる収益アップを目指したい」(緒方氏)
しかし何よりも事業収益を伸ばすためには、新規獲得などによるファンの増員が不可欠である。現在、オリックス・バファローズのファンクラブ会員数は約4万人いるが、実はこの1年間で約1万人も増加しているのだ。さらには全体人数の底上げに加えて、上級会員の割合も大きくなったという(オリックス・バファローズではファンクラブ会員をプレミアム、プラチナ、ゴールド、レギュラー、ジュニアというグレードに分けている)。一体どのような施策があったのだろうか。
緒方氏によると、全体人数の底上げについては、解約率を下げるための対策を講じるとともに、新規会員の獲得を強化した成果の表れだという。前者に関しては、携帯電話の契約などに見られる自動継続の仕組みに変更した。これによって、2013年に会員だったメンバーのほとんどが2014年も引き続き会員として残った。
後者は、球場への来場者に対する積極的な営業活動によるものである。臨時のキャンペーンスタッフを数多く動員するなどして、ファンクラブへの新規入会を強力に推し進めた。その結果、前年にレギュラーメンバー会員での新規入会は約3000人だったのが、2014年には1万人を超えた。
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