中小企業がスマホをBYOD対応にする「簡単な方法」とはHPがSMB向けモバイル管理の新サービス(1/2 ページ)

日本HPが、中堅中小企業向けのクラウド型「モバイルデバイス管理サービス」を開始した。社用のWindows PCも、個人所有のiPhoneやAndroidも容易にBYOD対応したいと考えるSMB向けに機能を特化した。1ユーザーあたり月額200円から使える。

» 2014年11月14日 21時00分 公開
[岩城俊介,Business Media 誠]

 広く普及したスマートデバイスに対し、自社のモバイル対応をどうするか。今、多くのIT部門担当者が頭を悩ませている。

 個人所有のデバイスを業務でも用い、効率を高めるワークスタイル(BYOD)への需要が高まっている。従来から、既存の業務PCを「いつでも、どこでも使いたい」とするニーズも依然ある。ただ、情報セキュリティのリスクから原則禁止とする企業はまだ多い。

photo  

 今後、事業の成長につなぐキーワードは「モバイルファースト」「クラウドファースト」と言われている。一般層に普及したスマートデバイスを業務に取り入れ、いかに効率を高めるか。それにはどんな準備と対策、運用が必要か。例えば、スマートデバイスで多くのシェアを得るが、法人分野にはそれほど深入りできていないAppleと、企業ITに関する知識を多く持つIBMが法人モバイル導入の支援策で提携したのも、まさにその変化に対応するための取り組みの1つだ。

 ただ、中堅中小企業においては、ソリューションの規模やコストに見合う製品やサービスが少なく、有効な手段があまりなかった。そもそも専任のIT管理者を置く余裕もないかもしれない。「……理解はしているが、どうすればよいか。対策手段が分からない」という現状がある。

SMBが「BYOD対応を簡単に実現できる」機能に特化

 日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)は11月14日、中堅中小企業(SMB)向けに特化したデバイス管理クラウドサービス「HP Touchpoint Manager」を開始した。

photo SMB向けに特化した、デバイス管理のためのクラウドサービス「HP Touchpoint Manager」

 ターゲットは従業員数250人以下のSMB。会社が貸与するノートPCやスマートデバイスのほか、従業員が個人で所有するPC、スマートフォン、タブレットを、IT専任者が存在しない環境でも容易に一元管理できる機能を集約したクラウド型MDMサービスに仕立てた。

 ポイントは、マルチOS対応、Webツールベースによる管理の容易さ、シンプルな料金体系の3つ。PCはWindows 7 SP1以上、タブレットはiOS 7以上/Android 4.0以上/Windows 8以上、スマートフォンはiOS 7以上/Android 4.0以上と、従業員が一般的に使用するデバイスとOSを広くカバーする。管理側はブラウザでのWebツールのみにて、ユーザーは各OS対応のアプリをインストールし、ログイン処理を行うだけで機能する。1台あたり約2分あれば管理対象として登録できるとし、管理者へもWebブラウザがあればどこでも容易に管理できるよう作業性も工夫した。11月14日現在、iOS版は近日対応予定とするが、「iOS版はアプリストアの登録に時間がかかっているのみ。機能は完成している」(日本HP)という。

photo 導入シーンの一例

 パッケージは、1ユーザーあたり月額200円(税抜、以下同)の「ベーシックパッケージ」と同月額1100円の上位版「プロパッケージ」の2つを用意する。1ユーザーあたり、5つのデバイスを登録できる。主な機能は以下の通り。

photo HP Touchpoint Managerの機能と価格
photo 日本HP プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括 テクノロジー・ソリューション統括本部の九嶋俊一本部長

 のメニューが加わる。GPSを使った位置把握や遠隔データ消去など、より高度な機能も追加した。2015年5月11日まで、導入から6カ月間無料(ベーシックパッケージ)で使えるキャンペーン期間も設ける。

 「HPとしても、クラウド基盤“HP Helion”を軸にしたサービスによってモバイル対応を、細かくはBYOD、VDI(仮想デスクトップ環境)などに対応する企業が増えている。ただSMBに向けては、使いこなせない高機能より、まずはBYODを想定したデバイスを管理できることが重要と考えた。企業のモバイル化は、IT投資額に余裕のある大企業より、やはり中堅中小企業は遅れがち。市場を分析したところ、そのセグメントに合致する満足なサービスがなかったこともある。中堅中小企業の従業員のBYOD対応ニーズをカバーしつつ、情シス担当者やIT管理の兼務者がどこにいても対応できるようにすることで、事業の発展をお手伝いしたい。ここが、サービスを新たにはじめることにした理由。ベーシックパッケージを(20015年5月11日までの導入で)6カ月無料で使えるようにしたので、まずは気軽に使って試してみてほしい」(日本HPの九嶋氏)


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