セキュリティ対策に生かす情報活用の勘所萩原栄幸の情報セキュリティ相談室(2/3 ページ)

» 2014年11月21日 08時00分 公開
[萩原栄幸,ITmedia]

セミナーを見抜くポイントは?

 情報セキュリティのセミナーではいま、ベネッセでの情報漏えい事件をきっかけに内部犯罪対策をテーマにしたものが大流行している。筆者も民放2局に呼ばれて出演し、セミナーのテーマを急きょ差し替えたこともある。

 やや紹介になるが、明日22日(2014年11月22日)に筆者の所属する日本セキュリティ・マネジメント学会の学術講演会が行われる。テーマは「内部犯罪・不正のリスクマネジメント」だ。末席ながら筆者も講演を予定しており、スポンサーに偏らない中立的な話をする。スポンサー不在のため有料であるのは申し訳ないが、当日受講も可能なのでご興味のある方は聴講していただきたい(参考:第27回学術講演会開催のお知らせ

 話を元に戻そう。無料セミナーの開催には目的がある。当たり前だが、主催者側には会場の賃料や人件費、講演費、ノベルティグッズ代などの費用が伴う。それが無料ということは、スポンサー企業が費用を払って「○○システムを売りたい」ということだ。つまり、受講者はこれらの状況を鑑みて参加を判断することになる。

 判断のポイントは、

  • ○○システムを導入しているが、その効率的な利用法などでヒントになるものがあるか?
  • ○○システムの導入を検討しており、他社のシステムと比べた長所と短所が分かるか?
  • 一般的な内部犯罪対策として勉強し、自分たちの会社に吸収できるものがあるか?
  • まだまだ検討もしていないが、参考に一般論を聞いてみたい

 などなどある。

 前項で紹介したA社の場合、○○システムはその検討の場に挙がっている状況である。本来なら、社長は参加したセミナーでの情報をプロジェクトチーム側に回すべきだろう。立場上からそれができないのであれば、社長は頭の片隅に情報を入れて、プロジェクト会議などの場で「講演で聞いた範囲の機能はどうなっているのか?」などと質問する。社長が独断専行してはいけない。

 繰り返しになるが、IT系企業の無料セミナーは使い方によってはとても貴重な情報源である。だからこそ、経営者の知識が十分ではないなら、詳しい人材とともに参加した方がいい。社長が独断専行すると盲目的になり、何も考えないまま受講すると、極端な場合は「洗脳されてしまう場合すらあり得る」ので注意だ。

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