新年の初めとして、今回は「2015年のセキュリティとリスクを占う」をお届けしたい。一見すると、セキュリティとは関係しないような事象も取り上げたが、情報セキュリティのこれからを考えるヒントにしていただきたい。
新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。
筆者は1978年に、ソフトウェア会社に入社してから一貫してデジタル情報系の作業に携わってきた。システムエンジニアとして、プログラマーとして、そしてシステム管理者として様々な業務を通じてセキュリティ分野を仕事の1つにしたのが、もう30年くらい前だ。その過程で仕事をしてきて、最近特に感じることが幾つかある。半分はセキュリティと直接関係がない事象かもしれないことは先にお詫びしたい。
マスコミのスキル低下が明らかに、半端なく酷い状態だと感じる。とても残念だが、ここ数年は特に酷い状況だ。彼らの軸足がどこにあるか。「普通は……」「一般的には……」と話される記者の頭には、自分たちや先輩たちが経験したり、社内で伝聞したりした情報が世の中でのスタンダードだと真に信じている節がある。
とても危ないことだが、本人はその事に気が付いていない。広く浅く勉強しているのか。たぶん一部の新人記者が言う様に、その程度すら時間もないという理由で勉強していないと思われる。セキュリティに関する取材を受けて10分でも会話をすると、とても良く分かる。「そうだ」と同調してくれる筆者のような専門家は多い。
インターネットが赤ちゃんの時代から存在している人たち(若者)を中心に、とても小さなコロニーを形成し始め、異論を唱える人や耳障りの悪い言葉を発する人、そして自分たちのコロニーにおける「常識」から外れた人を無視し、その後は徹底的に除外もしくは攻撃している状況が強くなった。たぶん今年は、その傾向がさらに強まると予想される。
コロニー(集落)とは、本来物理的な接触を伴うので、座標軸が近接している必要がある。例えば、ガンダム世代は「スペース・コロニー」という単語からでも、自分たちのコロニーのことを理解できると思う。
しかし、インターネットはその壁を軽く超えてしまった。世間では極めて圧倒的少数派でも、論理的コロニーの形成によって、サイバーの世界では立派な意思を持つ集団として形成している。この事自体は決して悪いとは思わない。だが、それぞれが勝手にコロニーの「常識」を振りかざし、勢力が増すと魔女狩りを行うようになった。ごく一部のコロニーの振る舞いについて、だんだん国家がその過激な行為を統制できなくなり始めている傾向が生じつつある。
数年前にそう友人やセミナーでの雑談で話したら、あっという間に「イスラム国」が出現した。また、自分にとって「うざい」発言は無視し、時には除外行為をしている人(若者とは限らない)が多くなっている気もしている。もしインターネットが変な方向に成長してしまったら、国家という概念はほとんど意味を成さなくなるだろう。遠い将来はそれでいいとも思えるが、ここ10年程度のタイムチャートでの変化としては激し過ぎる。
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