気仙沼市が導入した新・災害情報システム、自治体ならではの“次”の考え方ネット有効活用+情報弱者への対応強化も(1/2 ページ)

東日本大震災で被災した自治体で、新たな災害情報システムの再構築が進んでいる。宮城県気仙沼市も、2014年9月に新たなシステムを導入。市民への“次”の災害情報システムのあり方を示した。

» 2015年02月02日 21時00分 公開
[ふじいりょう,ITmedia]

 2011年3月11日に発生した東日本大震災。被災地となった自治体では災害情報システムの再構築が急務となっている。その街の1つ、宮城県気仙沼市が2014年9月にパナソニックの防災行政無線システムを導入し、市民の安心、安全を第一に考える“次”の自治体災害情報システムのあり方を示した。

 この新しい防災システムは、防災行政無線や携帯端末への緊急速報メールをはじめ、テレビやラジオ、インターネットなどへ一括で情報配信を可能とするほか、魚市場や市民病院に設置したデジタルサイネージで防災情報や天気予報、リアルタイムの潮位を閲覧できるようにした。

photo 気仙沼市Webサイト

経緯と課題:災害時の電源対策+複数の手段での一括発信体制を確保したい

 宮城県北東部の太平洋岸に位置する気仙沼市は、東日本大震災による死者・行方不明者が1400人以上に上り、沿岸部のわずかな平地に住宅が集中していたため、2万6601世帯のうち9500世帯が被災した。地震、津波による被害や、市全域が停電したことの影響により、市の防災行政無線は2011年3月13日20時から同29日10時45分までの間利用不能となった。「非常時の電源対策がとられてなかった。情報伝達システムが使えずに非常に悔しい思いをした」(気仙沼市 総務部危機管理課課長補佐兼防災情報係長の高橋義宏氏/出典:パナソニックWebサイト)と振り返る。

 受け手となるさまざまな年代、属性の市民のさまざまな状況を想定して、災害情報をより迅速かつ確実に伝達すること。そして災害発生から復旧期までの変化にも対応するため、防災行政無線だけでなくインターネットを中心に複数の方法による情報メディアでの発信ができること。これを新システムの課題としていた。

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