導入コンサルから運用、BPOまで CTCが一括支援型マイナンバー管理サービス

CTCが民間企業向けマイナンバー管理システムを開発。導入コンサルから運用のプロセスまでトータル支援型サービスとして体系化して展開する

» 2015年08月11日 11時19分 公開
[岩城俊介ITmedia]

 伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は8月7日、民間企業向けのマイナンバー管理システムを開発し、マイナンバー対応コンサルから番号の収集、管理を含む運用までのトータルサービスを開始した。民間企業および自治体を含めたマイナンバー関連事業全体で100億円の売上を目指す。

photo 企業向けマイナンバーソリューションの全体概要

 提供する企業向けマイナンバー管理システムは、自社が従業員から預かったマイナンバーを安全に保管するために必要な機能を網羅したソフトウェアパッケージに仕立てた。マイナンバーの収集・登録を行う「番号登録機能」、登録した情報を暗号化し安全に保管する「番号補完機能」、個別機能や画面ごとにアクセス制限を設定できる「権限設定機能」などを備える。仮想サーバ上で稼働するアプリケーション、インフラを含めたシステム全体など、各社の現システムに応じたシステム導入を支援する。

 また、地方自治体向けマイナンバー対応関連システム開発の実績を生かし、制度対応にともなうコンサルティングから、導入後の登録・管理・提供・廃棄の運用プロセスまでをトータルで支援するサービスとして体系化した。番号収集代行や登録を請け負うBPOサービスも用意する。

photo CTCの企業向けマイナンバーソリューション一覧

マイナンバー制度とは

 マイナンバー制度は、2013年5月24日に成立した「マイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)」によって、複数の機関に存在する個人の情報が「同一の人の情報である」ことの確認を行うための基盤である。2016年1月に開始する。

 国民一人ひとりに固有の12ケタの番号の「マイナンバー」を割り当て、それに基づき国民の生活や収入など各自の事情に応じた行政サービスの迅速化を図る目的で導入される。主に(当初は)、社会保障制度(年金、医療、介護、福祉、労働保険)、税制(国税、地方税)、災害対策に関する分野に使われる。2015年10月5日よりマイナンバーが付番された通知カードが国民一人ひとりに届き、個々の申請手続きによって個人番号カードが交付される。

 利用機関は行政機関や自治体などだが、社会保障や税に関する帳票や届出への記載に必要な従業員のマイナンバー収集や以後の管理は個々の民間企業、ないしその委託先が担う。例えば、税分野では、税務当局へ申告する各企業が番号の収集と管理を行い、給与所得の源泉徴収票などさまざまな帳票へ記載する対応が必要となる。基本的には、すべての民間企業や団体が当てはまるものとなる。

 マイナンバーを含めた個人情報は「特定個人情報」と定義され、取り扱いが厳格に規定される。これまでの個人情報保護法では対象外(5000件以下)の事業者であっても、それを1件でも取り扱うならばマイナンバー法における「個人番号関係事務実施者」となり、規制の対象になる。罰則も個人情報保護法より種類が多く、法定刑も重くなっている。一例として、正当な理由なく業務で取り扱う特定個人情報を提供した場合「4年以下の懲役または200万円以下の罰金」が科せられることがある。

 マイナンバーの取り扱いにおいて民間企業は「必要な範囲を超えて扱わない」「情報漏えいしないよう安全に管理する」「取り扱う従業者を教育、監督する」「委託先を監督する」などの義務や責務を負う。具体的にはマイナンバー制度の開始までに、マイナンバーの収集において厳格な本人確認を行うシステム、情報漏えい防止のための安全管理処置を講じること、そのための社内ITシステム改修やポリシーの制定、改訂を行っていく必要がある。データ保護の方法については、例えば「データの暗号化」や「パスワード保護」、そして「暗号鍵やパスワードの適切な管理」を行うようガイドラインで示されている。

 マイナンバー関連業務をアウトソースするにも、その委託先(その委託先の委託先も含めて)が適切かつ安全に管理、運用しているかを自社が監督する義務がある。漏えい事故が発生すれば、自社も罰則の対象になる。アウトソーシングサービスの選定も、マイナンバー法施行に対応した安全、確実な対応と対策手段を設けている事業者かを見極める必要がある。


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