企業の送金詐欺被害が世界で激増、FBIが注意呼び掛け

外国との取引がある企業を狙った巧妙な手口の送金詐欺が横行し、米国のほか世界79カ国に被害が及んでいる。

» 2015年08月31日 06時00分 公開
[鈴木聖子ITmedia]
注意喚したFBI

 米連邦調査局(FBI)は8月27日、外国との取引がある企業を狙った巧妙な手口の送金詐欺が今年に入って激増しているとして、不正な送金依頼や詐欺メールを見抜くための対策を各国の企業に促した。

 FBIによると、被害が確認された企業は2015年1月以来で270%増加し、全米50州と世界79カ国に被害が及んでいる。不正送金先は72カ国に上るものの、大半が中国と香港にあるアジア系の銀行に集中しているという。

 2013年10月から2015年8月までにFBIなどに被害を届け出た米国企業は7066社、米国以外の企業は1113社に上り、各国の捜査機関が確認した事案を合わせると、被害総額は12億ドルを超す。

被害状況

 送金詐欺に絡むフィッシング詐欺の報告件数も増えている。正規のメールに見せかけた詐欺メールを送って不正なリンクをクリックさせ、マルウェアに感染させる手口で、被害企業のパスワードなどの情報や口座情報を入手する手口が横行しているという。

 また、最近になって報告された新たな手口では、弁護士や法律事務所の担当者を名乗る人物から電話やメールで連絡があり、極秘案件や急ぎの案件と称して送金を迫られていた。この手口の詐欺は、終業時間の間際や週末に入る直前に、国際金融機関の終業が迫ったタイミングに合わせて発生する傾向がある。

 企業側にはだまされて送金してしまう前に詐欺を見抜くための対策が求められるとFBIは指摘する。具体的には、侵入検知システムを使って詐欺メールを洗い出したり、メールに記載された電話番号ではなく以前から使っていた電話番号を使って送金依頼の内容を確認したり、取引先の普段の行動や取引内容を把握しておくといった対策を紹介している。

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