米Safenetを買収したGemaltoが、日本セーフネットにおける今後の事業戦略を明らかにした。
オランダのGemaltoは9月9日、日本市場でのセキュリティおよびソフトウェア関連ビジネスに関する事業戦略を発表した。マイナンバーなど機密性の高いデータの保護やIoTシステム向けのセキュリティソリューションに注力すると表明している。
携帯電話やICカードなどの認証システムビジネスを180カ国以上で展開するGemaltoは、2014年8月にSafenetを8億9000万ドルで買収、Safenetのデータ暗号化や認証、ソフトウェアライセンス販売管理ソリューションなどの事業をポートフォリオに加えた。Safenetは政府機関や金融、テクノロジーなどの顧客を多数抱える。
この買収に伴い、旧Safenetの日本法人「日本セーフネット」の組織体制は「Identity, Data & Software Service(IDSS)事業本部に刷新。日本セーフネット社長の酒匂清氏が本部長を務め、データ保護ビジネスの「IDP事業部」とソフトウェア関連ビジネスの「ソフトウェアマネタイズ(SM)事業部」の2事業部体制となった。
Gemalto全体の事業戦略について日本・南アジア地域担当社長のマイケル・オウ氏は、「成長余地の大きなモバイル、IC決済、電子文書サービス、企業クラウド、IoTの5つに注力分野を定め、売上高(2014年は5億200万ユーロ)と利益(同3億8400万ユーロ)を2017年にそれぞれ2倍に増やす」と説明。Safenet買収もその中期計画での一環になる。
データ保護分野ではGemaltoとSafenetのセキュリティソリューションの融合を図り、企業顧客にデータセキュリティの重要性を訴求する。
IDP事業部長のJ.B・デュメルク氏は、「モバイルやクラウドなどの普及でITの利用が大きく変化し、社内と社外のネットワーク境界部で守る従来型のセキュリティ対策だけでは不十分」と述べ、「データ暗号化」「暗号鍵管理」「アクセス制御」の3つによるセキュリティ対策の必要性を提起した。IDP事業は日本セーフネット時代から政府省庁やメガバンク、大手メーカーなどを主要顧客としており、マイナンバーの保護や情報漏えい対策などの顧客ニーズへの対応を強化していくという。
ソフト開発者向けのライセンス販売管理ソリューション「Sentinel」などを手掛けるSM事業部のジェラード・ポール・クラーク部長は、IoT関連で市場拡大が見込まれる組み込みシステム向けソフトウェアへの対応を強化すると表明。「これまでソフトウェア会社は永続使用ライセンスを機器メーカーに販売するのが主流だったが、IoT時代は期間や利用形態などに応じて柔軟なライセンス販売ができるようになる」と述べた。
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