ソフトウェア定義で“次”のクラウドへ、NTT Comが新展開

「Software Defined」(ソフトウェア定義)技術の適用拡大を図り、ハイブリッドクラウドを中心とする次世代IT基盤の企業導入を加速させる。

» 2015年10月09日 08時00分 公開
[ITmedia]

 NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は10月8日、年次イベントの「NTT Communications Forum 2015」をスタートさせた。初日の基調講演に登壇した庄司哲也代表取締役社長は、「Software Defined」(ソフトウェア定義のアプローチ=SDx)を活用した「次世代クラウド基盤」の本格展開を表明した。

 庄司氏は、2011年から取り組む「Global Cloud Vision」に基づくクラウド事業の動向について、個別最適で構築されたIT環境をグローバルに統一する顧客企業での取り組みが加速していると説明。同社の国内外のデータセンターやネットワークサービスを利用したIT基盤の事例として、参天製薬やミツカン、東京海上日動火災保険を紹介した。

参天製薬(左)とミツカンの導入事例
東京海上日動火災保険の導入事例

 参天製薬ではクラウドとコロケーション、ヘルプデスクの各サービスを利用して世界各地のIT基盤の共通化と運用の一元化を図っている。ミツカンでは買収した米国企業のIT基盤を6カ月でNTT Comのデータセンターに移行させることに成功した。東京海上日動火災保険ではユニファイドコミュニケーションも活用し、全国約140カ所・9000席に上るコールセンター環境を標準化している。

 こうした取り組みの背景には、海外進出する企業を中心にIT統制の確保やコストの最適化、保有資産の軽量化といったニーズの高まりがあるという。ニーズに対応するために同社は、各種サービスを世界標準に基づく「グローバルシームレスサービス」に強化し、2011年度の6サービスから2015年度は13サービスに広げた。

講演する庄司哲也社長

 庄司氏は、「従来のICT環境はカスタマイズベースで構築されてきたが、今後はグローバルシームレスサービスを中心に必要なカスタマイズを加えていくアプローチが求められる」と語り、SDxをサーバからLANの領域にまで拡大させていくことを表明。これにより、ユーザーがICT環境導入の短縮化、ポータルやAPIによる運用管理の効率化、自動化によるコスト削減を図れるようにするという。

 SDxの推進による今後のサービス強化は、「次世代クラウド基盤」「ネットワーク」「IoTプラットフォーム」を柱に掲げる。

 次世代クラウド基盤サービスでは12月以降、パブリッククラウド、プライベートクラウド、コロケーションなどの環境をSDNで相互接続させることによるICT環境の一元化を可能にさせる。他社クラウドサービスも管理可能な「Cloud Management Platform」を展開し、ユーザー企業が各種環境を一元的に運用管理するためのAPIも提供する。このために「ネットワーク」では世界30都市以上の同社データセンターの間を10Gbpsの閉域網で接続させていく。

「次世代クラウド基盤」サービスのイメージ

 「IoTプラットフォーム」は、データの収集源となるエンドポイントデバイスからクラウド上の分析環境までをワンストップで提供するもの。同社は8月に「IoT推進室」を組織し、大手数社とこのプラットフォームの活用について検証を始めた。10月からは「工場設備」「製品管理」「車両管理」の3つの目的に応じたIoTプラットフォームのトライアルサービスをスタートさせる。

 庄司氏は「例えば、ドイツで進められている『インダストリー 4.0』(ものづくりのデジタル化)の動きは、個別に見れば既に多数の日本企業が実践していること。IoTプラットフォームの本格展開は2016年春以降になるが、その時点でパートナー企業の名前を含めた具体的な成果を示せるだろう」と語った。

「IoTプラットフォーム」サービスのイメージ

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