第4回 デジタルデータのコピーは「何個」必要かクラウド社会とデータ永久保存時代の歩き方(1/2 ページ)

デジタルデータは、コピーが簡単で、送受信も簡単、その場で加工もできます。しかし、便利な半面、消失してしまいやすいリスクもあります。今回は「では、何個コピーを残せばよいか」について改めて考えましょう。

» 2015年10月21日 08時00分 公開

この連載は……

 ストレージ技術は、クラウド/IoT時代を迎えて大きく役割を変えつつあります。

 様々な「非構造化データ」が無秩序に保存されてゆき、さらにかなり長期に保存する必要が出てきました。実は最新のデータセンターにおいてもデジタルデータの長期保存は大きな課題で、様々な新しい技術、新しい管理方法が考えられてきています。これはごく身近な個人のデータもそうです。スマホで撮った写真や動画、家族とのやりとりや記録、日記的メモやSNSのログなど、これらはいわばライフログ(人生の記録)になりつつある自分だけの大切なデータです。これらを数十年、百年単位で残していくにはどうすればよいのでしょう。

 この連載は「そのようなビッグデータ時代に最適なストレージとは何か」がテーマです。今後、トランザクションデータとアーカイブデータの二極化が起こります。特に無秩序に途方もない量のデータが生成されるこれからの時代には、低コスト、低消費電力、高拡張性、高検索性のストレージが求められます。そんな課題の解決方法を、最新IT技術も交えてできるだけ分かりやすく解説していきます。


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 デジタルデータはとても便利です。簡単にコピーできるし、加工もできます。私たちの生活を大きく変えたと言っても過言ではありません。

 では、デジタルデータの普及によって、アナログの本や写真などはなくなってしまったでしょうか。もちろんそんなことはありませんね。スキャンするなどで本や写真をデジタルデータにして活用するシーンも増えてはいます。しかし、アナログのままがいいという人は多くいます。なぜかは人それぞれですが、ここでは「保存」の観点で考えてみます。

 デジタルデータは「0」か「1」のビットの組み合わせで成り立っています。原則として、この1ビットが間違っただけでも全体が読めなくなります。デジタルデータは便利な反面、リスクもある。そんなぜい弱な面も持ち合わせています。

 実際、米国ハリウッドの映画業界では、デジタルで制作したコンテンツをアナログフィルムに記録して残すという逆転現象が起きています。また、現存する最古の画像情報は壁画ですし、ロゼッタストーンに刻まれた文字もしかりです。まさに「ど・アナログ」なものが数百年、数千年の単位で長期間残っています。

 ではデジタルデータはどうでしょう。アナログ記録のVHSビデオからデジタル記録のHDDレコーダーに買い換えて、画質の劣化がないことに驚きました。デジタルならば、コピーしてもデータが劣化しない・変わらないと言われます。

 しかし、そんなデジタルデータも記録した媒体が劣化すれば消失してしまいます。2015年現在のデジタルデータ記録媒体は、実はほとんどが数百年単位での長期保管に向いていません。例えば光ディスクは紫外線に弱いですし、HDDは回転モーターの劣化などが心配です。フラッシュメモリも長期的にはデータが消えて読めなくなっていきます。

 前置きが長くなりましたが、この消失リスクを防ぐために必要な作業が「コピー」ということになります。

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