Windows 8/8.1ではパブリックなWindows Storeか、System Center Configuration Manager(SCCM)を使って、社内のサーバ上にカンパニー ポータルを構築するか、Microsoftのクラウドサービス「Intune」によってアプリを配布するかしか方法がなかった。一方、Windows 10ではMicrosoftのクラウドサービスとして、企業向けのプライベート ストアを構築できるWSBが用意される。
WSBは以前から企業向けのサービスとして提供されると、Microsoftからアナウンスされていたが、Threshold 2のリリースに合わせるように、ようやくサービスがスタートする。当初は日本を含む20カ国で提供される。
WSBはMicrosoftのクラウド上にプライベート ストアを用意することから、ユーザーは「Azure AD」などの企業アカウントを使って簡単にアクセスできる。クライアントデバイスをグループポリシーなどで管理している場合は、Windows Storeではなく、WSBのStoreアプリでアクセスできる。また、社内で開発したUWPアプリだけでなく、Windows Storeで公開されているアプリを企業ライセンスとして購入可能なので、社内向けの基本的なアプリをWSB上で用意できる。
もちろん企業ライセンスとして購入する場合は、ライセンス数などを限定できるため、必要なユーザーにだけ特定のアプリを届けられる。Azure ADを利用するためので、部署の異動や退職などで状況が変わったアカウントに対しては、すぐにアプリを使用不可にもできる。アプリのアップデートなどはWSBで自動化できる。
将来的には、Win32アプリケーション(デスクトップ アプリケーション)をUWP上で動作させる「Project Centennial」がリリースされるだろう。既存のデスクトップ アプリケーションをUWP化して、WSB経由で配布できるようになる。「Project Westmeinster」ではWebサイトをストアアプリ化できる。この他に、iOSのアプリをUWP化する「Project Islandwood」、AndroidアプリをUWP化する「Project Astoria」などがある。こういった開発ツールがそろえば、ほとんどアプリケーションをWSB経由で配布できるようになるだろう。
また、WSBが認証基盤として利用するAzure ADは、Office 365などでも利用されているため、Office 365を採用する企業にとっても採用しやすいと思われる。Azure ADは、Microsoft以外のクラウドサービス(Salesforce、Google Apps、Boxなど)の認証基盤として利用できる。WSB上にSalesforceへアクセスするためのアプリ(Webサイトをストアアプリ化)を用意しておけば、従業員が新しいPCや携帯電話を購入しても、プライベート ストアにアクセスして必要なアプリを自分でインストール(セルフポータル)するだけで、新しいデバイスでも簡単に業務環境を準備できるだろう。
2015年現在で企業のWindows 10クライアント導入はまだ本格化していないため、WSBのメリットを感じられないかもしれない。しかし、2016年にWindows 10の導入は本格的になっていく。その時にこそWSBの必要性を感じることだろう。
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