OSのアップグレードに関する仕組みがWindows 10から大きく変わった。頻繁な更新を望まない企業ユーザー向けに用意される「Long Term Servicing Branch」とはどのようなものだろうか。
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Windows 10の提供開始から約2カ月が経ち、多くの個人ユーザーが無償アップグレードを行っていることだろう。一方で企業ユーザーは、直ちにクライアントPCのアップグレードを行うことはないことから、まだ評価している状況ではないだろうか。今回は企業のIT管理者を悩ますものとして、Windows 7や8.1から大きく変わったWindows 10でのアップグレードについて解説しよう。
Microsoftは、基本的にWindows 10以降の新しいバージョンのOSを計画していない。今後はWindows 10に新しい機能を追加してアップグレードしていく。もちろん、“Windows 10”というブランド名でのアップグレードに追加費用は必要ない(年間サブスクリプションの企業契約などでは毎年費用を支払う必要がある)。こういったコンセプトは、AppleのOS XやiOSなどに似ているだろう。
もう一つWindows 7/8.1との大きな違いは、これまで毎月リリースされていたセキュリティ関連の累積的な更新プログラムやWindows Defenderの定義などを、ユーザーやIT管理者が選択してインストールすることができなくなった。全ての更新プログラムやWindows Defenderの定義が必ずインストールされる。
これがWindows 10における基本コンセプトになる。ただ、企業などでは勝手に新機能がインストールされると問題になるだろう。そこでWindows 10には、新しく「Current Branch」(CB)という考え方が導入されている。
Windows 10のエディションは、コンシューマー向けの「Windows 10 Home」、個人・企業で利用する「Windows 10 Pro」、企業で利用する「Windows 10 Enterprise」の3種類に大別される。この他に、Windows 10の新機能を積極的にテストするための「Windows Insider Program」が用意されている。Windows Insider Programは、Windows 10 HomeのCBよりも先に新機能をテストできるが、完全にテストが済んでいるわけではないため、システムに致命的なトラブルを起こす可能性もある。
Windows 10 HomeにはCBが適応され、MicrosoftからWindows 10の新機能が提供されると、すぐにアップグレードが行われる。Windows 10 Homeユーザーにとっては新機能へのアップグレードは必須であり、アップグレードを延期したり、拒否したりする機能はない。Windows 10 Homeは常に最新機能が取り込まれた状態になる。つまり、CBとは「常に最新のWindows 10」というものだ。
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