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» 2015年12月04日 07時45分 公開

萩原栄幸の情報セキュリティ相談室:元SEの視点で感じた新幹線回数券のおかしなところ (2/2)

[萩原栄幸,ITmedia]
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JRで違う?

 筆者がここで戸惑ったのは、何十回と利用した東海道新幹線の回数券とは勝手が違うように感じたからだった。新幹線の回数券はJRによる違いがあまり無いものだと思っていたが、その筆者の考え自体が実際と異なっていた。よって、「利用者が戸惑ってしまうような商品設計は事業としてはどうか」と思った次第だ。

 東海道新幹線のJR東海と東北新幹線のJR東日本では回数券だけみても、なぜこのような違いがあるのだろうか。

 利用する目的や区間もさまざま新幹線の回数券は、なるべく柔軟に顧客が選択できるようにすべきではないだろうか。東北新幹線では選択が絞られていて、券売機のパネル表示もそのことが反映され、固定化されたものになっている。フレキシブルにできないというのはまるで半世紀前のような考えのシステムだ。元SEの筆者としては、ここに強く疑問を感じた。

 まず回数券を購入したい顧客の視点で考え、システムの検討でもそれを取り入れる。どこからどこまでの区間なのか、自由席か指定席なのかという選択画面があり、6枚つづりであることや有効期間が3カ月であるといった条件で絞り込んでいくようにする。

 また、多くの個人がブログなどでしているが、原則として自由席から指定席への変更はできないのも不思議だ。収益機会を考えれば、指定席に空きがあれば差額を徴収できるし、利用者の希望もかなう。だが、JR東日本は原則的に不可といい、現場で例外的に対応するようなことも無いようだ。

 一方でJR東海はこうした対応をしている。同社のWebサイトにも記載がある。

JR東海の自由席回数券に関する説明(JR東海のWebサイトより

 また、JR東海の回数券は種類も多く自由席用回数券だけで100種類以上あり、指定席用回数券でも60種以上ある。自由席から指定席への変更も基本的に席が空いていれば対応してくれる場合あるのも納得できる。だが東北新幹線は指定席回数券で12種類、(北陸、上越、山形、秋田新幹線を合計しても25種類)、自由席回数券では2種類(同5種類)しかない。

 おそらくJR東日本の新幹線は、東北や北陸など経路が複雑になるのでこうした対応をしているのかもしれない。それなら多少は理解もできるが、顧客視点で最初からシステムを設計していれば、そんなに難しい対応とは思えないのである。外国人観光客が急増し、東京オリンピックが5年後に迫るいま、こうした対応ではビジネスチャンスを逃してしまうのではないかともなんとなく心配してしまうのだ。

萩原栄幸

日本セキュリティ・マネジメント学会常任理事、「先端技術・情報犯罪とセキュリティ研究会」主査。社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会技術顧問、CFE 公認不正検査士。旧通産省の情報処理技術者試験の最難関である「特種」に最年少(当時)で合格。2008年6月まで三菱東京UFJ銀行に勤務、実験室「テクノ巣」の責任者を務める。

組織内部犯罪やネット犯罪、コンプライアンス、情報セキュリティ、クラウド、スマホ、BYODなどをテーマに講演、執筆、コンサルティングと幅広く活躍中。「個人情報はこうして盗まれる」(KK ベストセラーズ)や「デジタル・フォレンジック辞典」(日科技連出版)など著書多数。

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