“コンポーザブル”が次のブーム? HPEが打ち出したITインフラの進化Weekly Memo(1/2 ページ)

日本ヒューレット・パッカードが「コンポーザブルインフラストラクチャ」と呼ぶITインフラの新たなコンセプトを発表した。果たして何が新しいのか。

» 2016年02月01日 17時00分 公開
[松岡功ITmedia]

“コンポーザブルインフラストラクチャ”とは何か

 日本ヒューレット・パッカードが1月27日、「コンポーザブルインフラストラクチャ」と呼ぶITインフラの新たなコンセプトと、それを具現化した製品群「HPE Synergy」を発表した。新コンセプトについては米Hewlett Packard Enterprise(HPE)が2015年夏に方針を打ち出し、同12月に製品群と合わせてその詳細を発表したもので、日本ヒューレット・パッカード(日本法人の略称もHPE、以下同じ)がその内容を国内で明らかにしたのは今回が初めてだ。

新製品「HPE Synergy」を発表したHPEのニール・マクドナルド氏(右)と日本ヒューレット・パッカードの大月剛氏

 コンポーザブルインフラストラクチャとはどのようなものか。同社によると、「物理と仮想が混在する環境や、オンプレミスとクラウドが共存するハイブリッド環境において、サーバやストレージ、ネットワークなどを可変的なリソースプールとしてとらえ、多様なワークロードに最適なリソースを自由に切り出して組み立てることができるITインフラ」のことだという。

 HPEの大月剛 執行役員サーバー事業統括本部長はこの新コンセプトについて、「現在、企業のIT環境では従来の業務アプリケーションに向けた仮想環境が整備されつつあるが、一方で物理環境やコンテナによって利用される新しいアプリケーションも拡大しており、それぞれにサイロ化する状況が広がってきている。これを打開するため、物理や仮想環境、コンテナのいずれにも対応し、ワークロードが異なるクラウドネイティブなアプリケーションと既存の業務アプリケーションを統合して利用できるリソースプールを提供しようというのが基本的な考え方だ」と説明した(図1参照)。

図1:コンポーザブルインフラストラクチャの概念

 この新コンセプトを具現化した製品群のHPE Synergyは、可変的なリソースプールやソフトウェアをフル活用した管理環境「Software Defined Intelligence」、そして、単一のユニファイドAPIを活用することで、リソースを最適な形で組み合わせたITインフラを実現できるとしている。具体的には、コンピュート、ストレージ、ネットワークスイッチの主要モジュール、各種アダプタをさまざまなアプリケーションとその用途に応じて、単一または複数のフレーム(筐体)に収納し、まさしくコンポーザブルインフラストラクチャを構成できるよう設計されているという。

 これによって、企業はクラウドネイティブなアプリケーションをオンプレミス環境に迅速に展開して新たなビジネスを短期間でスタートさせたり、既存の業務アプリケーションを安定的に低コストで運用することが、ひとつのITインフラ上で共存可能になるとしている。

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