“Google Apps先生”は営業出身の新人情シス 社内浸透の立役者に(2/2 ページ)

» 2016年04月26日 14時00分 公開
[御手洗大祐ITmedia]
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―― サービスの導入と推進はどんな体制で進めたのですか?

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鈴木氏 私と土屋、会見の3人で進めました。導入を進めるのが私、システムを守るのが土屋、現場のフォローをする会見、という役割分担です。会見は営業からの転属で、現場と情報システム部門をつなぐ「コミュニケーションエバンジェリスト」という位置付け。現場の声を情報システム部門向けに翻訳するような役割ですね。

会見氏 ITの「あ」の字も知らずに情報システム部に行っていいのかっていう不安があったんですけど……

鈴木氏 うちの会社では、元気があって、伝えたいことをきちんと伝えられる人であれば、情報システム部門のメンバーになれるんです。今後のキャリアは、その人のキャラクターに応じて考えればいいと思っています。例えばヘルプデスク業務は、きちんと教えれば誰でもできるようになるんですよ。会見にはまず、「Google Apps先生」になることを目指してもらいました。

 会見は、私達が物怖じするような営業社員が相手でも積極的に話しかけますし、営業のことも分かってるから、営業の要望をしっかり理解できるんです。会見がいなかったら、何となく営業社員に不満が残ったまま使い続けることになった可能性もありますね。

鈴木氏 事業部門からバックオフィスへの転属は、一般的な企業では珍しいと思いますが、そこを理解してくれた経営陣の判断はありがたかったですね。導入が早くて効果的であれば、企業の成長につながるだろうという判断だったのだと思います。

―― グループウェアのクラウド化で、運用の手間は軽減されましたか?

土屋氏 例えば昔のメール環境では、PCのアプリケーションを利用していたのですが、メールをためる人がいると、PCの動作が異常に重くなったり壊れたりしていたんです。そのメンテナンスが大変だったのですが、Webメールになった今では、そういったことが一切なくなりました。

鈴木氏 以前と比べて、少ない人数でも効率よく回せるようになったと思います。やるべきことをやり、やらないことは最初からやらないと判断しておいて、やるべきかどうか分からないことには、とにかく少し手をつけてみる。ダメだったらすぐ手を引く――。そんな考え方で新しいことにチャレンジできるようになりました。それができるようになったのも、必要なリソースを必要なときだけ使えるという、クラウドに移行したメリットですね。

 今では、誰でもできるような業務やルーティンの運用には時間をかけず、常に「どうしたら業務を効率よくできるか」を考え続けるという方針で業務にあたっています。

―― Google Apps×iPhoneを導入した後の業務現場の反応は?

鈴木氏 「外出先でPDFなどの仕事で使う資料を閲覧できる」「撮影した現場の写真をすぐメールで送信できる」など好評でした。予想外にチャットツールのGoogle ハングアウトを使う人も多く、「もう、メールはいらないのでは」という声すら挙がっています。

―― 運用の効率化が実現してきた今、次に取り組むべき課題は?

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鈴木氏 攻めのソリューションをクラウド上に構築して、Google Appsと連携させたいですね。あとは各基幹システム系をiPhoneでも操作できるようにするアプリの開発でしょうか。全てのサイトをスマホに最適化して、iPhoneさえあれば全ての業務ができるようにしたいですね。

土屋氏 今後はGCPも積極的に活用していきたいと思っています。

鈴木氏  Google Appsを導入したことで、これまでに比べて“攻める方向”に時間をかけられるようになったと実感しています。ルーティン作業や、以前のメールサービスの問い合わせ対応に掛かっていた時間を全て、“攻める方向”に使えるようになったのは大きいですね。

 今は競争の激しい時代ですから、上は「同業他社がやっていないことをやってほしい」と思っています。私たちも、革新的な不動産業の情報システムを実現するためには、他社が思いもつかなかったところで攻めたいと思っており、ここからが本当の勝負だと感じています。

著者プロフィル:御手洗大祐

 rakumo代表取締役社長。1996年 日本電信電話株式会社に入社。約3年に渡り電子商取引システムや企業間取引システムに関する米国ベンチャー企業との共同開発に携わる。その後、ネオテニー(当時)、バックテクノロジーズ代表取締役を経て、日本法人であるシーネットネットワークスジャパン代表取締役社長に就任。 2005年に同職を退任後、同社非常勤取締役に就任(同年10月に退任)。同時期に日本技芸(現・rakumo)を設立。


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