クラウドへのシフトを鮮明に打ち出し、2020年までに日本市場でNo.1クラウドカンパニーを目指すという日本オラクル。2017年度の戦略発表会で、他社クラウドとの違いをアピールした。
「昔ながらのものを容認し、伸ばしながら新たな改革に挑む」――。こう話すのは、2017年度の戦略発表会に登壇した日本オラクルCEOの杉原博茂氏だ。
6月30日、CEO就任以来、クラウドへのシフトを鮮明に打ち出してきた同氏が2016年度の業績と2017年度のビジョンについて説明。他社との違いとして、「チップからクラウドまで、全部自分たちで作っているテクノロジー・カンパニー」であることを打ち出していく構えだ。
2016年度の業績については、売上1702億円、営業利益502億円を達成。日経平均の成長率が−16.3%と低迷する中で、日本オラクルは+9%の成長を遂げたと杉原氏は胸を張る。
成長ドライバとなったのは39.3%増の成長を見せたクラウド事業だが、昔ながらのライセンス事業も3.9%増で推移。Oracle Exadataなど、ハードとソフトを統合したシステムも堅調な伸びを見せ、3.1%増と2年ぶりのプラス成長を記録した。これはまさに、「昔ながらのものを容認して伸ばしながら、新たな改革に挑む」という、同社のパラレル構造改革の成果だ。
日本オラクルは、「2020年までに日本市場でNo.1クラウドカンパニーになる」という目標を掲げており、そのための最重要施策として(1)SaaS/PaaS/IaaS事業の拡大(2)エンタープライズ営業の強化(3)システム事業の拡大(4)地域ビジネス成長への貢献 という4つを打ち出している。
2017年度はさらに施策を1つ追加する。「他社との違いはテクノロジー・カンパニーである」というアピールだ。そこには、AWSなどの新興プレイヤーばかりが目立つことに対する苛立ちもあるようだ。
「新たなクラウドプレイヤーのテクノロジーは、宣伝広告費を出さなくても話題になる。そこで30年間、ミッションクリティカルなシステムを作ってきたオラクルは何が違うのかをアピールする施策を付け加えた。オラクルはいろいろな技術を持っており、セキュリティ問題にもしっかり対応する。UK離脱や大統領選挙の結果で企業があたふたせずに済むよう支援したい」(杉原氏)
他の重点施策は、クラウド事業についてはERPクラウドビジネスを加速させるとともに、中堅中小企業の開拓に注力する方針。パートナーは年間500社を目標に、戦略的に展開する考えだ。
システム事業については、ビッグデータ解析やIoTにおける需要をにらんだコンバージドインフラストラクチャ戦略を強化。地域ビジネスの成長では、7支社7支社長体制を強化し、47都道府県全てにオラクルソリューションを導入することを目指す。
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