AIは人を単純作業から解放し、創造性を引き出す存在に――NEC新野社長人間の“協働”で社会課題を解決(2/2 ページ)

» 2016年08月02日 08時45分 公開
[池田憲弘ITmedia]
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AIを“守る”のも、AIの仕事に

 AIの活用事例は次々と出てきているが、AIが生み出す新たな価値を守るために必要なのが“セキュリティ”だという。「1カ所でもセキュリティに不備があると、AIが生み出すバリューチェーン全体が脅かされる」(新野社長)ためだ。そして、そのセキュリティを守るのもまた、AIなのだ。

 「NECは古くからセキュリティの技術開発を進めていますが、この領域でも、AIを活用した自己学習型のシステムを開発しました。通常のシステムは攻撃を受けた後、攻撃の種類を分析して対処するのですが、この技術では、システムの“正常”な状態を学習しておき、異常な動きを検知したら直ちにネットワークを遮断する仕組みを採用しています。これによって、未知の攻撃や予想外の故障にも対処できるわけです」(新野社長)

photo ITやOTにおける未知の攻撃に対し、AIを活用したセキュリティシステムが求められていると新野社長は話す
photo 社内ネットワークのシステム動作を全IPアドレスで可視化。正常な状態として人工知能に認識させることで、異常を検知する仕組みだ

 犯罪防止やスマートシティ、農作物の需給予測など、AIやIoTといった新技術は、新たなシステムやビジネスが次々と生む可能性を持つ一方で、「AIが人間を追い越し、さまざまな仕事が無くなってしまうのではないか」と危惧する見方も根強い。しかし、新野社長は決してそんな事態にはならないと断言する。

 「AIの技術が発達しても、人間が判断する必要性は残るでしょう。芸術の活動などAIだけではできないことも多々あります。今後、AIは人の創造性や幸福感を引き出す役割を担うと考えているのです」(新野社長)

 データを可視化し、事象を予測し、制御する――人工知能の“英知”がどう人間と関わっていくのか。さまざまな実績を積み上げていくことが、社会に人工知能が真に受け入れられるカギになるのだろう。

取材協力:NEC

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