日本航空(JAL)と日本IBMは12月7日、「航空機における故障予測分析」を12月から共同で開始すると発表した。整備精度を高めて航空機の品質を向上させるのが目的。
この取り組みは、IBMの統計分析ソフトウェア「IBM SPSS Modeler」を活用して、JALの航空機からダウンロードした各種センサーデータと整備履歴を分析する。その結果から機材故障の発生を予測して事前に整備処置を行い、機材の不具合による欠航や遅延を未然に防止するとしている。
従来の機材整備では、機体やエンジン、装備品に備えられたセンサーが収集する温度や圧力などのデータを1フライト単位でモニターし、センサーの値が事前に設定した値を超過した場合に異常値として検出するという簡易なモニタリング手法に基づいて処置していたという。
今回の「故障予測分析」は、過去のフライトで得られた大量のセンサーデータと機体や部品の整備記録をビッグデータとして総合的に分析することで、統計値から引き出される故障予測結果に基づき、的確な予防整備が実施できると説明する。
対象機材は、ボーイング737-800、同767、同777、同787型機とボンバルディアCRJ200型機、エンブラエルE170、E190型機。今回の分析開始に先立ち、2015年11月から1年間の実証実験を行い、特定の故障の発生を一定の精度で事前に予測できることを確かめた。引き続き、分析対象領域の拡大と故障予測技術の高度化を進めるとしている。
なお、実際の「故障予測分析」と整備処置は、JALおよびJ-AIR(ジェイエア)機材の整備を担うJALエンジニアリングで実施する。
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