「上司が辞めた」「異動で情シスデビュー」「Win10に四苦八苦」――情シス、悲喜こもごもの2016年俺たちの情シス 第8回 リポート(1/2 ページ)

ITmedia エンタープライズ編集部主催の“情シスによる情シスのための交流会”「俺たちの情シス」の第8回は、飲んで騒いでこの1年を振り返る「俺情大忘年会」。この1年の出来事や思いを語り、「男子禁制の情シス女子会を開催したい」「Win10ってアレじゃない?(笑)」「情シスのやりがいって何?」など、さまざまな意見が飛び交いました。

» 2016年12月30日 07時00分 公開
[大類大吾ITmedia]
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 2016年12月6日、ITmedia エンタープライズ編集部がリアル情シス交流会、「第8回 俺たちの情シス」を開催しました。

 今回は参加者が情シスとしての1年を振り返る、「情シスいろいろ:私の2016年」題したライトニングトークを開催。5人の情シスが登壇し、この1年に成し遂げたことや苦労したこと、問題解決のノウハウ、そして今後のチャレンジなど、さまざまな経験や思いを語りました。

“情シス”は“TSA”に変わるか!?

 最初に登壇したのは、情報通信企業で情シスをしているOさん。会社でシステムインフラの運用管理やIT資産管理を担当するほか、プログラミングも手掛けています。

 実はOさん、3月に開催された「俺たちの情シス 出張版スペシャル」にも参加しており、その際のプレゼンで、「『情シス』って言葉、なんかダサくないですか?」という意見を投げかけるとともに、自社で「情シス」の代わりに使っている役職名、「TSA(Technical Service Advance)」を流行らせたい、と意気込んでいました。

 当時、会場の反応はイマイチで、ITmediaの情シス、イシノからもあえなく却下されましたが、めげないOさんはさまざまな場所でTSAを“布教”。その結果、なんと大手検索サイトから「TSAについて詳しく知りたい」という話が来たそうです。

Photo 2017年、TSAは広く知られるようになれるか

 情シスとしては、「クラウド、テレワーク、BYOD」の実用化に取り組み、安全に利用できるようにするためのセキュリティ対策に注力していたとOさん。集中管理によって、問題が生じたときは即座にアカウントを停止させる仕組みを用意し、ログの取得による管理体制を取り入れたといいます。

 ライトニングトークの最後にOさんは、男子禁制の「情シス女子会」を開催すると発表。会場からは期待の声が上がりました。エンタープライズ編集部でも続報、お待ちしています。

Windows 10って取り扱い注意?――新OS導入の苦労とノウハウ

 続いて登壇したSさんは、Windows 10導入の取り組みを紹介しました。トークは、導入した新OSの動作について、「隙あらばMicrosoft アカウントを入力させようとしたり、クラウドへつなごうとしたりと、マイクロソフトにパーソナルな情報を流すように誘導してくる」というボヤきから始まりました。

 根本的な問題として、「ネットにつないだ瞬間、『コンシューマーに最適なエクスペリエンスを提供する』という建前のもと、何も設定をしないと個々のユーザーの動向を探ってネット上に送り、フィードバックを持ち込んでしまう」と説明。もちろん、あらかじめ設定をオフにしておくことで対処できますが、ITに詳しい人がいない会社ではそれに気付かない可能性もあると指摘します。ついには、「このような機能を持つWindows 10は、企業ユーザーを管理する情シススタッフにとって脅威となり得る。もはや新たなマルウェア」という超過激なジョークが飛び出し、会場は爆笑に包まれました。

 Sさんは「全社的に枠組みを決め、きちんとした環境を用意できるのであればWindows 10はとても有用なOS。しかし、こうした環境を構築できない企業がWindows 7と同じような使い方をする場合には、デメリットが多く表れてしまう」といいます。

Photo Windows 10は、全社的な枠組みを決めて導入すればとても有用なOSだが、全社的なコンセンサスがとれていない状態で導入すると、せっかくの便利な機能がリスクになりかねないという
Photo 過激な発言の裏には、もちろんWindows 10に対するリスペクトがあります

 Windows 10のよさを有効活用するための対処法としてSさんは、「インストール後に簡単設定をしない」「グループポリシーを利用して、マイクロソフトアカウントを停止させる」「ストアやOneDriveの利用をオフにする」「IMEのクラウド候補を利用しない」「そもそもユーザーにアプリを操作させない」などの方法を挙げました。

 しかし、これだけの対策を講じても、アップデートによってリスクになりかねない機能が追加されることもあり得るので、「慎重な対応が必要」と話します。会場から「削除したアプリケーションが復活する可能性もある」と指摘されると、心なしか会場の空気が重くなりました……。

情シスの上司が突然退職するも、ピンチをチャンスに!

 ゲームの制作会社の情シス部門に所属するMさんは、2016年に起こったセンセーショナルな出来事として、「上司の退職」を挙げました。技術面の問題や偉い人との交渉など、今まで自分にはできないことを解決してもらっていた上司がいなくなったということで、Mさんは大ピンチに。会場からは「あるある」という声が……

 しかし、「もうダメかと思ったけれど、実際はそんなことなかった」とMさん。「むしろ、今までやりたかったことを進められるいいチャンスだった」と、2016年を振り返りました。

 Mさんが取り組んだのは、「社内サービス利用のルール整備」「オンプレサービスのクラウド化」「無線LAN環境の再構築」。Mさんが整備する前、社内サービスはさまざまなクラウドサービスが入り乱れている状態だったといいます。

 社内サービスを整理し、利用をルール化するにあたってMさんは、「リスクを洗い出してから、システムを横断したルールを制定し、それに沿った運用を開始した」と説明。ルールの策定時には、俺たちの情シスで学んだことが参考になったようです(編集部注:ありがたい話です)。

Photo 上司が辞めるというピンチをチャンスに変えたMさん
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