LINEとつながるビジネスチャット「LINE WORKS」は何がすごいのか(1/2 ページ)

LINEとワークスモバイルジャパンが、LINEユーザーともセキュアな形でコミュニケーションが取れるビジネスチャットアプリ「LINE WORKS」を発表した。ビジネスチャットアプリの中でも圧倒的な競争力を持つことになる。

» 2017年02月03日 07時00分 公開
[園部修ITmedia]
LINE WORKS 左がLINE WORKS、右がLINE

 LINEとワークスモバイルジャパンが2月2日、LINEユーザーともセキュアな形でコミュニケーションが取れるビジネスチャットアプリ「LINE WORKS」を提供すると発表した。料金はシンプルなトーク、掲示板、アドレス帳と管理機能のみを備えたライトプランの場合で、年額3600円(月額300円相当)もしくは月額360円から。さらにカレンダーやファイル共有、メール、グループフォルダなどが使えるベーシックプランの場合、年額6000円(月額500円相当)もしくは月額600円。監査機能や大容量アーカイブを備えたプレミアムプランの場合は年額1万2000円(月額1000円相当)もしくは月額1200円。

LINE WORKS 料金プランは3タイプ
LINE WORKS ビジネスに使えるLINE

LINEと直接やり取りができる唯一のビジネスチャット

 「LINEのように使えるビジネスチャット」から「ビジネス用LINE」へ――。LINEユーザーとつながれるLINE WORKSの登場は、似たようなユーザーインタフェースを採用し、“LINEのような見た目や操作感”で法人向けにビジネスチャットを提供してきた競合に対して、圧倒的な差別化ポイントとなる。

 これまでも、ビジネスのコミュニケーションにチャットを取り入れる動きはあった。LINEが個人向けのコミュニケーションツールとして、そして企業から消費者に向けたマーケティングツールとして、広く普及している状況下で、それを仕事にも使いたい、というニーズが高まるのは当然だ。

 LINEの出澤剛社長は「従業員同士のコミュニケーションは、インターネットが一般化した20年前からほとんど変わっていない。生活者のコミュニケーションはLINEで大きく進化したのに、従業員として働いているときの業務上のコミュニケーションは旧来のまま。1人の人間の中で、オンとオフのコミュニケーションに大きな隔たりができている。多くの人は、進化したLINEでのコミュニケーションに慣れれば慣れるほど、業務上のコミュニケーションにストレスがたまる」と言う。

LINE WORKS 生活者のコミュニケションはLINEで大きく進化したが、従業員としてのコミュニケーションは旧来のまま
LINE WORKS LINEとワークスモバイルは2016年10月に提携を発表。もともとグループ会社だったが、法人向けのLINEを展開するに当たり協力することになった。2社のシナジーのもと、新しい働き方を提案する

 しかし、企業のIT部門から見れば、従業員が勝手に業務にLINEを使うことはリスクになる。情報漏えいやコンプライアンス違反の危険性がある上に、それを管理したり、監視したり、問題が起きたときに履歴を見て原因を究明したリが難しいからだ。

 また従業員には、仕事とプライベートではコミュニケーションツールを分けたい、というニーズが強い。例えば取引先から「LINEのID教えてくれませんか」と言われ、やむを得ず個人のLINE IDを教えた、あるいは飲食店のアルバイト仲間でグループが作られていて、個人のLINE IDでグループに加わらざるを得なかった、といった場合、休みの日にも仕事の連絡が来てしまう可能性がある。

 こうした問題を解決し、ビジネスでチャットを活用できるのがLINE WORKSというわけだ。企業ユーザー向けのセキュアな環境は保ったまま、一般のLINEユーザーとのコミュニケーションが可能になる。

 LINEでコミュニケーションを取りたがる個人に対して、企業側はこれまで、LINE@のようなマーケティングソリューションは利用できたが、例えば営業担当者が顧客と個別にLINEでやり取りする、といったことは難しかった。

 すでにIDOM、ミズノ、キャリアデザインセンター、オープンハウスなどがLINE WORKSの導入を決めており、業務で積極活用する。IDOMでは中古車購入希望者とのコミュニケーションに、ミズノは社外の重要な取引先とのコミュニケーションに、キャリアデザインセンターでは転職希望者とコンサルタントとの密なコミュニケーションに、オープンハウスでは、住宅購入検討者と営業担当者のコミュニケーションに利用されるという。

LINE WORKS IDOM、ミズノ、キャリアデザインセンター、オープンハウスなどがLINE WORKSの活用を始めている
LINE WORKS マーケティングから個別営業、販売後のフォローまでをLINEのプラットフォームで行える

 ちなみにLINE WORKSとLINEを連携させる場合は、システム管理者により連携許可を得たLINE WORKSユーザーから、LINEユーザーに友だちとして追加してもらうためのQRコードやトークID、招待用リンクを送付する。LINE WORKSのQRコードやトークID、招待用リンクはSMSやメールで送付できる。

 こうした仕組みにしたのは、LINEユーザーのプライバシーを確保しつつ、LINE WORKSユーザーのセキュリティを担保するため。LINEユーザーからしか、LINE WORKSユーザーを友だちに追加できないので、LINEユーザーがつながりたい相手を選べるようになっている。

 なお、LINE WORKSのスタンプ機能は、あらかじめプリインストールされているもののみが利用可能で、LINEのように自由に追加できるようにはなっていない。またLINE WORKSでは、LINE WORKS同士での音声通話やビデオ通話はできるが、LINE WORKSとLINEの組み合わせでは、チャットのみが利用でき、通話はできない。

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