大企業を中心に導入実績が増えてきたことから、今後は中堅・中小企業での普及とIoT(モノのインターネット)分野への適用を目指すという。
NECは2月9日、SDN(ソフトウェア・デファインド・ネットワーキング)での新たな事業戦略を発表した。中堅・中小企業市場での普及に向けた施策を展開するほか、プラント生産設備などの制御系システムへの適用拡大も目指す。
中堅・中小企業向けの施策では、企業ネットワークの運用監視サービスを拡充し、導入コストを抑えるというネットワーク新製品を投入する。また、同社の販売パートナーが中堅・中小企業の顧客にSDN関連サービスや製品を提供できるよう支援する「NEC SDNサポートセンター」も開設。技術情報の提供や講習会、構築支援や販売支援を行う。
ネットワークの運用監視サービスは、サービス利用契約企業の回線や機器の状況をNECが遠隔から監視・保守するもので、新たにSDNを利用した企業ネットワークにおける拠点移設や経路変更の対応を同社が行う。オプションとして、SDNによるネットワークでの通信状況の可視化や分析ができるツールも提供する。
製品面では、今後1年以内にスイッチ製品「UNIVERGE QX」シリーズの全モデルをSDNに対応させるほか、新製品のSDNコントローラソフト「UNIVERGE SDN Controller Lite」(標準価格5万円から)を2月に発売する。これらを利用することで、既存のネットワーク構成からSDNによるネットワークへの移行を少ないコストで進められるという。
戦略発表したスマートネットワーク事業部長の北風二郎氏によれば、同社は2011年にSDNの標準規格の1つ「OpenFlow」に対応した機器を世界で初めて製品化。大企業や官公庁・自治体、団体などで、これまで600以上の情報系システムに採用された。
導入先からは、機器やケーブルといった物理的なネットワークの構成要素を大幅に入れ替えることなく、ソフトウェア技術でネットワークを柔軟に制御できる運用性や、セキュリティ製品と連動してマルウェアに感染したIT機器を自動的にネットワークから隔離できるといった評価があるという。新戦略ではこうしたSDNのメリットを中堅・中小企業に訴求し、「負担の大きなネットワークの運用を丸ごとNECに任せてもらえるようにしたい」(北風氏)をいう。
一方、制御系システム領域でのSDNの適用は、設備機器や流通、建設など各業界の有力メーカーやシステムインテグレーターとの協業を通じて広げたい考え。現在は情報系システムとは分けて構築、運用されることの多い制御系システムをSDNで統合していくことにより、コスト削減や情報系システムと連携した制御系システムの高度化が実現するとしている。
同社は、こうした新戦略の展開を通じて2017年度中にSDN事業で300億円の売上を見込む。
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