特にクラウドの中心的なベンダーがこうしたクラウドストレージを国内に積極的に推し進めているのも、市場拡大に弾みをけることになっているようです。
AmazonではAWSのユーザーに対して一定期間無償での利用を提供していますし、他のベンダーも積極的な利用を推進する状況にあり、利用を経験した企業から順番にクラウド上でのデータ格納に関するリスクやアレルギーが解消する傾向が強まっているようです。今後一気に利用が広がる可能性も高まっているといえます。
また以前よりパブリッククラウドのエンタープライズ利用の環境がそろってきたため、優位性についての市場理解が高まったこともこうした動きを後押ししているものと思われます。
一方、日本国内のクラウドサービスプロバイダーも、日本独自のIT要求を十分に理解したうえでサービスを提供しており、着実に市場を伸ばしてきています。
パブリッククラウドは依然として注目されていますが、その一方で、オンプレミスであっても巨大なクラウドストレージを構築して少人数で運用できるストレージ基盤も登場しています。
米国のTintriは2016年にスケールアウト機能を市場投入しました。この機能で、最大16万台もの仮想マシンを格納できるストレージプールを簡単に構築できます。しかも、日々の運用管理は基本ストレージ側で賄うため、運用管理者は1人で十分で、1企業でAmazon規模のクラウドストレージを実現できるのです。企業のアプリケーションやデータによっては、どうしてもパブリッククラウドに移行できないものが存在します。そんなときに利点となる機能です。
AWSやMicrosoft Azureをはじめとしたクラウドストレージは、以前より格段に企業向けの対応がなされ、“クラウドファースト”の要件を満たしているといえます。企業の持つIT資産を見直しする時期は、次期システムのかなりの部分をクラウドストレージに移行できる可能性を検討するチャンスです。
それでもオンプレミスに残したいシステムは残りますので、その際には、いかに“クラウドライク”に構築できるストレージに移行できるか?というのも1つの注目点といえるでしょう。
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