世界最大の闇市場、国際捜査で摘発 禁止薬物やマルウェアを大量売買

AlphaBayは、約4万の販売業者と20万人のユーザーが利用。禁止薬物や毒物、盗まれた個人情報や偽造品、マルウェアなどのハッキングツール、火器などがダークWebで売買されていた。

» 2017年07月21日 09時10分 公開
[鈴木聖子ITmedia]

 米司法省と欧州刑事警察機構(Europol)は7月20日、各国の捜査機関と連携して、禁止薬物やマルウェアなどを大量に販売していた世界最大の闇市場「AlphaBay」と、3番目の規模をもつ「Hansa Market」を閉鎖させたと発表した。

AlphaBay AlphaBayのサイト(司法省の文書から転載)

 発表によると、AlphaBayは2年前からダークWebでTorのネットワークを使って運営され、約4万の販売業者と20万人のユーザーが利用していた。同サイトで販売されていた禁止薬物や毒物は25万点、盗まれた個人情報や偽造品、マルウェアなどのハッキングツール、火器などは10万点にのぼる。2014年に創設されて以来の取引額は、少なく見積もっても米ドルで10億ドルに達していた。

 AlphaBayでは、サーバの所在地や管理運営者、およびユーザーの身元を隠す目的で、ビットコインなどの仮想通貨を利用。違法取引で得た現金のマネーロンダリングも行われていたとみられる。AlphaBayを通じてヘロインや麻酔薬のフェンタニルを購入し、過剰服用で死亡した人が何人もいるという。

 米連邦捜査局(FBI)はタイ、オランダ、カナダなど各国の捜査当局と連携してAlphaBayのインフラを押収した。7月5日には、AlphaBayの創設者で管理者だったとされる25歳のカナダ国籍の男をタイ当局が逮捕したが、この男は12日、タイの勾留施設で死亡した。自殺だったと思われるという。米当局はこの男が禁止薬物の取引やなりすまし、マネーロンダリングなどの犯罪にかかわったとして行方を追っていた。

 AlphaBayを通じた違法行為の収益とされる数百万ドル相当の仮想通貨は凍結された。米連邦検察は、死亡した男と妻がタイなどの世界各地に保有していた高級車や邸宅、ホテルなどを含む財産の差し押さえを申し立てている。

 一方、Hansa Marketに関する捜査では、管理人2人をドイツで逮捕、オランダやドイツにあったサーバを押収して7月20日に閉鎖させた。オランダ警察は、Hansaで商品を注文していたユーザーの配送先の住所などの情報も大量に入手し、国外の住所についてはEuropolに引き継いだという。

 米司法省のジェフ・セッションズ長官は、「犯罪集団はダークネットを使えば摘発されることはないと思っているかもしれないが、ダークネットは隠れ場所ではない。今後も犯罪者や麻薬取引業者はどこに居ようと、あらゆる手段を使って見つけ出し、訴追する」と強調している。

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