ITセキュリティは、“先生だけが覚えて他の人たちは教えを請う”ということではいけないと思っています。
例えば、生徒たちがYouTubeで見たユーチューバーにあこがれ、自分も同じことをやってYouTubeにアップしたとしても、その責任を学校教育に押しつけることはできません。ITセキュリティは、学校だけでなく「家庭」でも教えていかなければならないものです。ここで考えるべきポイントは、“セキュリティ問題を自分ごととしてとらえず、誰かに押しつけていないか”ということです。
これは学校や家庭だけでなく、おそらく企業内でも一緒です。「ITセキュリティは情報システム部に頼るべきもの」という考え方では、もはや脅威を避けられない時代になっているのです。ITセキュリティは、誰もが“自分のこととして考え”、他人に責任や対策を押しつけることなく、みんなで一緒に考えていくものなのです。
講演では、最近起きた事件を含め、恐ろしい印象を与える話をしてしまいましたが、最後は「ITは本来、人を幸せにするものだ」という話で締めくくりました。
フィッシングサイトや加工された写真などの判別は、機械学習やデータ処理で判別できる時代がきっと来ると私は楽観的に見ています。今の子どもたちは、親世代が想像する以上にITを使いこなしていますから、彼らが親世代になるころには今の悩みはきれいに解消されているかもしれません。その頃には、今は想像もつかないような新しい課題も出てきているでしょうが、きっと技術も進歩しているはずです。
私はそんな未来がとても楽しみです。だからこそ、今の世代はもうひとふんばり、頑張っていきましょう。
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
筆者より:
2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法〜1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。
これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウド&PCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。皆さんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。
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