死角なし? 決算から読み解くMicrosoftクラウド戦略のターニングポイントMicrosoft Focus(2/2 ページ)

» 2017年09月09日 08時00分 公開
[大河原克行ITmedia]
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急成長のAzureがクラウドをけん引

 一方、Azureをはじめとする「インテリジェントクラウド」の売上高は、前年同期比11%増の74億ドル。先にも触れたように、Azureが前年同期比でほぼ倍増の成長を遂げているのが特筆すべき点だ。

 先を行く「AWS」との距離はまだ開いているが、市場におけるAzureの存在感は確実に高まっている。AWSとの比較検討対象に、Azureが入るようになってきたからだ。また、SAPのリプラットフォームにAzureが活用されるなど、基幹業務の領域における利用拡大も加速している。そうした存在感の高まりが高い成長率につながっている。

 インテリジェントクラウド部門では、サーバ製品およびクラウドサービスの収益は15%増となったものの、エンタープライズサービスは、カスタムサポート契約の減少によって3%減少した。だが、エンタープライズサービスの減収要因となったカスタムサポート契約の減少は、プレミアサポートサービスが成長したことが要因で、転換期の影響とみることもできる。

 そして、「Surface」などが含まれる「モアパーソナルコンピューティング」の売上高は、前年同期比2%減の88億ドルとなった。Surfaceが製品モデルチェンジの端境期に入ったことで、前年同期比で2%減少。さらに、スマートフォンの売上減少がマイナス要素となった。

 だが、「Windows OEM」の売上高は1%増となっており、市場全体をわずかに上回ったほか、Windowsのコマーシャル向け製品およびクラウドサービスの収益が8%増となった点も見逃せない。ここでは、複数年契約が増えているほか、管理製品群との組み合わせ導入が増加。同社のクラウドサービス事業が安定的に収益を確保するための要素が加わっていることがポイントだ。

 さらに、「Xbox」によるゲーム事業の売上高は3%増となっており、PCの底堅い需要と、Xboxの堅調ぶりが示された格好だ。そして、検索広告収益は、検索および検索量あたりの収益の増加により、10%増になったという。


 今回の第4四半期決算を見ると、Microsoftのクラウドシフトが着実に進展していることが分かる。これは、同社の改革がうまくいっていることの証といえるだろう。また、クライアントPCビジネスが回復基調にあること、Xbox事業が成長しているといった動きも注目点だ。インテリジェントエッジの中核を担うビジネスの復活は、Microsoftのビジネスに弾みをつけることになるだろう。

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