ソフトバンクとRPAホールディングスが、RPA事業の新ソリューション「SynchRoid」を発表、11月1日から提供を開始する。
2017年10月19日、ソフトバンクがRPAホールディングスと提携してRPA(Robotic Process Automation)事業の新ソリューション「SynchRoid」(シンクロイド)を発表した。これは、7月21日にソフトバンクとRPAホールディングスが、RPA分野の事業展開に係わる業務提携契約を締結して商品開発を行っていたもので、ソフトバンクは10月13日付けでRPAホールディングスに出資も行っている。
ソフトバンクでは、自社の営業力と法人顧客基盤を生かして拡販し、RPAを皮切りに企業の成長戦略、デジタルトランスフォーメーションを継続的にサポートしていく。
SynchRoidは、RPAホールディングスで最も販売数の多い「BizRobo!」をベースに開発したRPAソリューションで、手軽にRPAを導入できるように2つのパックが提供される。
まずは手軽にRPAを体験できる「ライトパック」(1ライセンスで年間90万円)と、本格的な導入に向けた「ベーシックパック」(10ライセンスで月間60万円)がそれで、ソフトバンク 法人事業統括 プロセスマネジメント本部 副本部長 兼 RPA推進室 室長 上永吉聡志氏は「ライセンス提供が目的ではなく、デジタルトランスフォーメーションのきっかけにすぎない。そこを多面的にサポートしていくべく、多彩なサービスメニューを用意した」と説明する。
具体的には、RPAを社内に浸透させる派遣サービスやロボット開発者育成を支援する導入トレーニング、RPAそのものの理解、見える化や手順などを説明する導入支援ワークショップ、ロボット開発者向けの開発スキルトレーニングなどから、履歴書にも書けるようなスキルレベルを判定する検定試験まで、順次展開していく予定だ。
上永吉氏はソフトバンクのRPA事例として「働き方改革の足場としてRPAを活用しており、自分自身の業務を削減すべくRPAを導入している。社内では、まず2〜3名のコミュニティレベルから始め、今では26部門が集まってRPAを生かしている状態だ。各部門でリーダーを指名し、若手が実際にRPAを使い、そのノウハウを部門ごとに横展開したのが効果的だった」と説明した。
そして「まずは現場で使ってみて、とことんやり抜くのが大事だ。そのための仕掛け作りがポイントになる。実際、2017年9月段階でアイデアは約1300近く出され、152人のエンジニアが358の開発プロジェクトを実施することにより、月間9000時間と60人程度の規模感の作業工数を削減できた」と報告した。
「業務自動化の未来は、カスタマーエクスペリエンスの向上と追求で、ビッグデータを使った完全自動化を目指すべく、まずはRPAで定型作業の自動化を行い、次いでロボットとAIの組み合わせで非定型作業の自動化を拡大する」と上永吉氏は語り、RPAの活用事例を紹介した。
1つは簡易的な見積書を作成する事例で、IBMのWatson(AI)とRPAを活用するもの。顧客から送られてきたメールをWatsonが解析してRPAで見積書に自動入力、見積書がPDFで自動的に出力される。人間が行うと15分かかる作業がわずか3秒で終わり、回答スピードが劇的に上がることで顧客満足度の向上につながったという。
他にも、PepperとRPAを使ったアパレルショップの接客で、Pepperに欲しい服のバーコードをかざすと、在庫確認や服装のレコメンドなどをPepperが示し、必要であればPepperから店員を呼び出すなど、「ロボットと人間の棲み分けがうまくできている事例だ」と上永吉氏は指摘した。
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